2013年07月08日-07月12日
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2050年のワールドカップ ロボットの優勝なるか?

2013年07月08日

 ロボットによる国際競技大会「ロボカップ世界大会」は1997年に初開催され、今や各国が人工知能の最新成果を披露し、人工知能の技術交流を行う重要な場となっている。2050年までに人間のサッカー選手に勝てるロボットチームを創造することが、同大会の長期的な目標だ。科技日報が伝えた。

 ◆2013年は中国が優勝

 ロボカップ世界大会2013はこのほど、オランダのアイントホーフェンで幕を閉じた。米国、ドイツ、ブラジル、スペイン、イタリア、中国など約40の国と地域から「選手」2500体が参加し、サッカー、レスキュー、家事、技能などの能力を競った。

 数日間の激戦を経て、中国の北京情報科技大学の「水之隊」(ウォーターチーム)が、今大会の最大のブラックホースとなった。同チームは同日の「中型ロボットリーグ」の決勝戦で、ホームのアイントホーフェン工科大学を3対2で下し、人工知能分野で中国のサッカーチャンピオンの夢を実現した。

 ◆ロボット選手、宇宙大戦の未来予想図を描く

 ロボカップサッカーは、ロボットのサイズや形状に合わせて「小型ロボットリーグ」、「中型ロボットリーグ」、「ヒューマノイドリーグ」などに分かれている。小型ロボット級はバースデーケーキほどのサイズで、ロボットアームにより会場を縦横無尽に駆け巡り、ゴルフボール(サッカーボールの代用品)を力いっぱいゴールに押し込んだ。

 ロボカップでは、全階級の試合がロボットのみによって進められる。プログラムの設定を終え試合が開始されると、アクシデント(過熱などの原因により、選手のプログラムに問題が生じ、ボールを蹴らずに踊り出した場合など)で選手交代を余儀なくされた場合を除き、人間の参加が認められない。

 ◆プログラムとコードの駆け引き

 複雑な人間のサッカーとは異なり、ロボットの試合は天気やグラウンドのコンディション、もしくは人為的な要素による影響を受けない。試合結果を左右するのは、プログラムとコードの出来のみにかかっている。

 ロボットエンジニアは複雑なプログラムを作成し、異なる動作と力によりロボットの選手にパスやシュートをさせる。ロボットたちは無線ネットワーク技術により、チームメイトと情報交換と意思疎通をする。ディフェンダーは自ら試合の情勢を判断し、果敢に攻めるか否かを判断する。

 2012年の大型ロボット級で準優勝したチームのリーダーによると、ロボットプログラミングでトップ水準に達している彼らはオランダチームと、ルート計画プログラムという「秘密兵器」を共有しているという。同プログラムは簡単に言えば、ロボットに相手が蹴ったボールのルートを判断させ、事前にボールが来る場所に待機しカットさせるものだ。

 現在のコンピュータプログラミング技術は、ロボットの選手に単純な動作しかさせられないが、ロボットたちが転んだ後、慣れた動きで這い上がり、膝を回転させ方向を変更し、ジェスチャーで合図を送る姿を見ると、将来的にはよりリアルに駆け回り飛び跳ねることが想像できる。その時になれば、人間のサッカー選手は気をつけなければならない。ロボットにはミスを犯さない、プログラム通りに行動するという長所があるからだ。

 チェスの世界クラスの選手「ディープブルー」(チェス専用のスパコン)は、2050年のワールドカップで人とロボットが技を競うという光景がそれほどSFじみていないことを、私達に知らせてくれた。不安になるぐらいならば、ロボットチームがワールドカップを手にした時に、どのような表情でこれを見つめるべきかを、早くから考えておいた方がよいだろう。

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