2013年07月08日-07月12日
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中国 世界最大の「電子ゴミのたまり場」に

2013年07月12日

 自分の捨てた携帯電話やパソコンが最終的にどこに行き着くか、考えたことがあるだろうか?国連がこのほど発表したデータによると、世界で廃棄された電子ゴミの70%が最終的に中国にたどり着くという。中国は今や、世界最大の「電子ゴミのたまり場」になった。中国青年報が伝えた。

 中国は今、国外からのゴミの侵入を受けていると言っても大げさではない。米国国際貿易委員会のデータによると、2011年、中国が米国から輸入した廃棄物・ゴミの額は115億4千万ドルに達し、中国の米国からの輸入総額の11.1%を占めた。英国メディアによると、英国からは毎年1200万トンのゴミが中国やインドなどのアジア諸国に輸送されており、その多くが電子ゴミだという。

 中国国内における電子ゴミの増加率も軽視できない。国連環境計画の報告書によると、全世界の電子ゴミは毎年3600万トンのペースで増加しており、うち中国は年230万トンで、米国(300万トン)に次ぐ、世界2位の電子ゴミ産出国となった。使用寿命を10年から15年として計算すると、中国では毎年400万台の冷蔵庫、600万台の洗濯機、500万台のパソコンとテレビ、1千万台以上の携帯電話が淘汰されることになる。杭州だけでも、3年分の電子ゴミで西湖を埋め立てることができるほどだ。

 電子ゴミは電子廃棄物とも呼ばれ、主に廃棄された家電やコンピュータなどの電子製品だ。電子廃棄物には通常、大量の重金属や有毒物質が含まれる。例えば液晶ディスプレイには水銀が含まれるが、これも一種の有毒物質だ。廃棄されたディスプレイを分解、焼却し、埋め立てる際には、有毒物質が漏えいして環境汚染が招かれやすい。また再利用できるレアメタルやエンジニアリングプラスチックも、処理のプロセスで無駄になってしまうことが多い。携帯電話を例に取ると、廃棄された携帯電話1トン分から取れる金の量は、金鉱石に含まれる金含有量の50倍に相当するという。

 日本では、電子ゴミの回収を含むリサイクル産業は「静脈産業」と呼ばれる。人の血液が動脈を通じて体の隅々に送られた後、静脈を通じて再び心臓に戻り、新たな循環を始めるのと同じように、リサイクル企業は生産と処理の過程で生じた廃棄物を再利用可能な資源に転化させ、再利用を実現している。

 一方の中国はというと、電子ゴミのリサイクル産業はまだ初期段階にある。まず、電子廃棄物のリサイクル分野が少なく、技術が遅れている上に、法環境も整っていない。さらに、電子廃棄物のリサイクルに携わる人々の多くは組織に属しておらず、三輪車で各地を走り回り、「ゲリラ的」に廃品を回収している状態だ。

 2011年末、2年間にわたって実施された家電の「以旧換新(買い換えの際に補助金を支給)」政策が終わり、補助金が無くなったため、電子ゴミを高価格で買い取る小規模な企業などにいらなくなった家電を売る消費者が増えている。しかし、これらの企業は廃棄物の処理方法が単純かつ粗放的で、環境汚染を引き起こしやすい。一方、コスト的な原因から、進んだ技術と設備を備える正規の企業には往々にして電子ゴミが集まらない。華新緑源は中国の廃棄家電リサイクル試行企業の1つだが、昨年は8カ月にわたる操業停止に追い込まれた。

 海外からのゴミ侵入問題に対応するため、中国は「輸入禁止固体廃棄物目録」を公布し、コンピュータや家電、通信設備などの電子ゴミの輸入を禁止した。国際条約「バーゼル条約」でも先進国から途上国への有害廃棄物の輸出を禁止している。しかしそれでもなお、大量の電子ゴミが違法ルートで国内に流入している。利益に目がくらんだ多くの違法業者が買取と売値の差額を稼いでいるのだ。悲しいことに、これらの電子製品のほとんどは中国で生産された物であり、世界を一周した後、最終的に再び中国にたどり着き、中国を汚染している。

 電子ゴミの処理に関しては、国外の経験を参考にできる。ドイツには1万あまりの電子ゴミ回収拠点があり、市民は1人あたり最大20点の廃棄家電を無償で処理できる。米国ではメーカーや小売店が独自に回収措置を設けており、例えば家電量販店「ベストバイ」では店内に回収コーナーが設けられている。アップルも米国各地の247店舗で古いiPodの回収を行っており、新たなiPodを購入する場合は10%の割引が適応される。

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