2013年07月15日-07月19日
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中国、世界最長のカーボンナノチューブの生成に成功

2013年07月17日

 地球から月まで伸びる「はしご」が実現するかもしれない。清華大学の魏飛教授の研究チームはこのほど、世界最長となる長さ50センチ以上のカーボンナノチューブの生成に成功した。一次元ナノ材料としても世界最長となる。この研究成果は米国化学会の雑誌「ACS Nano」オンライン版で発表された。科技日報が伝えた。

 カーボンナノチューブはこれまでに発見された中で機械的強度が最も高い材料の1つで、同じ重量で比較した場合の引っ張り強度は鋼鉄の276倍と、その他の材料を大幅に上回る。

 「サイエンティフィック・アメリカン」誌はかつて、「地球と月の間にはしごをかける」という夢のような構想を示したが、これほどの長い距離でも、自身の重量によって途切れない材料はカーボンナノチューブしかない。しかも実現には大量生産のほか、かなりの長さと機械的強度が必要で、1本あたりの長さは1メートルさらに1キロ以上でなければならない。

 同研究チームは、材料製造、化学工業技術学科による学際的な研究を通じ、製造設備・技術面で大量の改善とイノベーションを実現。カーボンナノチューブ生成時の触媒活性率を99.5%以上に高め、最終的に1本の長さが50センチを超えるカーボンナノチューブの生成に成功した。

 魏飛教授は「我々の生成したカーボンナノチューブは完璧な構造を持ち、機械的強度に優れている。現在は1メートル以上のカーボンナノチューブの生成に取り組んでおり、将来的には1キロ以上の長さを持つ、高密度のカーボンナノチューブの生成を目指している。これが実現すれば、宇宙にかける『はしご』の実現が一歩近づく」と語る。

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