2013年07月15日-07月19日
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App Storeの6割がダウンロードされず、コンテンツが勝負の鍵

2013年07月19日

 APPは英語の「Application Program」の略、つまりアプリを指す。iPhoneの流行と普及に伴い、このアプリと呼ばれるモノは人々の衣食住のさまざまな面に変化をもたらした。アップル社が運営するアプリケーションのダウンロードサービスApp Storeが誕生してから5年間で、すでに89万種類のアプリがリリースされ、ダウンロード数も延べ500億回に達した。人民日報が伝えた。

 しかしある2つのデータが、アプリのもう1つの側面を伝えている。App Storeが開設5周年を迎えた7月10日、BBC(英国放送協会)はドイツの調査会社のデータを引用し、「App Storeには全く使われていないアプリが存在し、3分の2以上のアプリがほぼ誰にもダウンロードされていない状態だ」と伝えた。米民間調査機関Pew Research Centerの報告書によると、毎週使うアプリが5つ以内というスマホユーザーが約68%を占め、多くの人は「衝動買い」でアプリを手に入れた後、すぐに興味を失ってしまうという。

 それでは長年ユーザーから愛され続けているアプリには何があるだろうか。関連の調査によると、写真共有アプリ、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」、中国版LINE「微信(WeChat)」などのSNSアプリや、地図・ナビゲーション、グルメ検索などの生活サービス類アプリがこれに当てはまるという。他にもダウンロード数が1億件を超えるiBookなどの電子書籍、音楽ダウンロード件数が100億件を超えるiTunesなどの音楽アプリがある。

 人気のあるアプリは、豊富なコンテンツを持っている。当然ながらこの「コンテンツ」とは、伝統的な意義の「白紙に書き込まれた字」のことではない。アプリ時代の「コンテンツ」には、音楽、動画、面白いゲームや、SNSアプリの友人と共有する情報・写真、いつでも利用できるリソースライブラリなどが含まれる。

 一部のSNSサービスは「広告がコンテンツであるべき」とする考え方を提起している。普通の広告よりも、有名人の写真や、友人からのメッセージのほうがユーザーの興味を引きやすいためだ。例えばフェイスブックは、企業側が広告を押し付けるのではなく、友人のアップする写真などを通じて自然にユーザーの欲求を生み出すことができる。これこそが、「コンテンツ」の魅力だ。

 しかし一方で、情報が氾濫する今の時代、質の高いコンテンツの価値が急激に低下している。一部のニュースアプリはオリジナルの記事が無くとも、1000万人の利用者を獲得できる。コンテンツ重視がソース・サービスの重視になり、アプリを見栄え良く洗練されたデザインにすれば十分というケースもあるほどだ。

 コンテンツが豊富になることで良い点もあれば悪い点もあるが、とにかく言えることは、情報が過剰になるほど同一化が深刻になり、質が高く独特なコンテンツが少なくなるという点だ。コンテンツがなければ、どれほど卓越したデザイン、どれほど行き届いたサービスも、一瞬の快楽に過ぎない。アプリの寿命をのばすためには、コンテンツそのものに回帰する必要があるかもしれない。

 当然ながら、デザイン・共有・個性化を通じて、コンテンツをより輝かせることができる。ゆえにアプリの場でいかにコンテンツを輝かせるべきかも、検討すべき問題である。

 例えば一部の質の高い紙メディアはコンテンツの二次開発(情報のまとめなど)により、アプリの即効性・利便性に合わせることができる。コンテンツの個性化もまた、一つのすう勢になりつつある。例えば、ユーザーが好きなコンテンツ(微博や天気など)を選ぶと、アプリがこれらのコンテンツをまとめ、1つの雑誌の形に編集し、ユーザーの選択に合った独占コンテンツを作成してくれる。

データの公開が進み、計算がスピードアップする将来、ビッグデータ分析を経たアプリはユーザーの心を「推測」し、興味を分析し、オーダーメイド型のコンテンツを作れるようになるかもしれない。

 アプリの時代は依然として、コンテンツが最も重要だ。新技術は質の高いコンテンツを美しく彩り、コンテンツと融合することさえできる。しかし、しっかりとしたコンテンツがなければ、新技術は見栄えが良いばかりで実用性のない「飾り」を作り出すばかりだ。

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