2013年08月01日-08月02日
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「ハッカー」、自動車のシステムに侵入可能 トヨタ等が対象に?

2013年08月01日

 ハッカーによるコンピュータネットワークへの攻撃はもはやニュースにもならないほどだが、車を対象とする攻撃は新鮮な出来事だ。ロイター通信の28日の報道によると、ハッカーのチャーリー・ミラー氏とクリス・ヴァラセク氏はこのほど、8月1-4日にかけてラスベガスで開催されるハッカー大会「ブラックハット」において、トヨタのプリウスとフォードのクーガに攻撃を仕掛けるソフトを公表すると発表した。両氏は数カ月に渡る研究結果をまとめた、100ページにも及ぶ白書を発表するという。環球時報が伝えた。

 しかしミラー氏とヴァラセク氏の研究は、初めに米国政府の許可を得なければならない。彼らがハッカー技術を研究するのは、違法分子に先駆けてシステムの脆弱性を発見するためだ。このようなハッカーは、ホワイトハッカーと呼ばれる。

 ミラー氏はツイッター社のセキュリティエンジニアで、ハッカー技術によるApp Storeへの攻撃の研究により名を馳せた。ヴァラセク氏はコンサルティング会社IOActiveのセキュリティ情報担当者で、同社はマイクロソフトのシステム・セキュリティの脆弱性を指摘することで有名だ。両氏が開発したハッカー技術は、時速130キロで走行するプリウスに急ブレーキをかけさせることが可能だ。また当然ながらプリウスを加速させ、ハンドルを操作することもできる。また両氏は低速走行中のクーガのブレーキを無効にすることが可能だ。ドライバーがどんなに力を込めてブレーキを踏もうと、クーガは前進を続けるというのだ。

 ヴァラセク氏は、「運転手の近くに多くの人がいたら、どんな事態が発生するだろうか?」と語った。ミラー氏は、「100人のセキュリティ研究者の研究は、フォードやトヨタの目よりも役に立つ」と述べた。両氏はその他のホワイトハッカーが自らの行為に刺激を受け、自動車のより多くの安全リスクを見つけ出すことを望んでいる。しかし両氏は実際に乗車しながらトヨタとフォードの脆弱性を調べ、ノートPCにより自動車のコンピュータネットワークに接続した。本当に1台の車を操ろうとするならば、遠隔操作技術を採用しなければならない。しかし彼らは、同技術に関連するいかなる情報も公開しないことを決定した。

 トヨタの広報担当者のジョン・ハンソン氏は、「当社は電子セキュリティに巨額の投資を行っているが、その他の自動車メーカーと同様、同社の自動車には脆弱性が存在する。ハッカー攻撃の可能性は間違いなく存在すると思うし、当社もこれを非常に重視しており、両氏の発見した脆弱性について調査中だ」と語った。フォードの広報担当者のクレイグ・デイツ氏は、「両氏の研究した技術は、ハッカーが車内にいなければ使用できず、安全リスクを引き下げている」と述べた。

 「Automotive News中国」の楊堅氏は29日、「自動運転車技術の登場に伴い、外部から自動車を抑制するという状況が増加するだろう。信号にミスがあれば、ドライバーと乗客に危害をもたらす可能性が高い」と指摘した。異なる面から見れば、このようなハッカー技術は自動車電子技術の発展、スマート機能の強化を示していると言える。西側諸国もその技術の先進性を示しているが、中国国内には同様の技術が現時点では存在しない。ハッカーは現段階で、外部とのつながりを持つ自動車のシステム(カーナビなど)に侵入する可能性があるが、当然ながらこの手段は非常に先進的だ。私達はこのようなハッカー技術をデモンストレーションするイベントを、自動車メーカーが自社製品のハイテク水準を示す、一種のPR活動と見ることもできるかもしれない。

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