2013年09月02日-09月06日
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廃棄物がエネルギーに 中国で関連技術が普及

2013年09月05日

 埋立ガスを含め、役に立たないように見える廃棄物の多くが、エネルギーの宝庫になる。北京市は近年、ゴミの資源化利用の比率を高めており、関連技術の開発と使用を拡大している。科技日報が伝えた。

 都市部の生活ゴミの量は増える一方だ。中国環境保護部の統計データによると、中国都市部の生活ゴミの処理量は、毎年1億5800万トンに達している。

 ◆埋立ガスが天然ガスに

 中国の都市部で最も一般的なゴミ処理方法は、埋立処分だ。ゴミの埋立処分の際には、多くの埋立ガスが発生する。このガスは引火しやすいばかりでなく、さらには悪臭を放ち大気を汚染する。

 埋立ガスの最も一般的な処理方法は、燃焼による排出、燃焼による熱供給、火力発電だ。北京環衛集団が自主開発した装置は、埋立ガスを高効率回収し、さらに脱酸素、脱硫黄、乾燥、圧縮などにより液化天然ガスを抽出することができる。

 ◆廃棄油がバイオディーゼル油に

 中国では食用油の生産と消費によって、大量の廃棄油が発生する。その資源総量は約1000万トンに達すると見積もられている。これらの食用できない廃棄油をいかに適切に処理するかは、これまで人々を困らせてきた難題だ。

 清華大学科学工程系応用化学研究所の劉徳華所長は、「動植物油脂(下水から精製する地溝油を含む)を航空機用バイオディーゼル油にすることは難しくない。中国はこの分野の研究で、すでに大きな進展を実現している。しかし地溝油の回収価格は割高で、さらに加工コストがかさむため、航空機用バイオディーゼル油は一般的な化石燃料と比べ、競争力を持たない」と指摘する。地溝油で航空機を飛ばすことはできるが、コスト面から見れば経済的ではない。しかし地溝油などの廃棄油によるバイオディーゼル油の生産には、さまざまなメリットがある。

 バイオディーゼル油の性質は一般的な化石燃料ディーゼルオイルに近く、また酸素含有量が多く、潤滑性が高く、使用の際の安全性が高いなどのメリットがある。ディーゼルオイル内燃機関を改造しなくても単独で使用でき、また化石燃料ディーゼルオイルの洗浄剤にすることが可能で、ディーゼル車、漁船、農業機械に幅広く活用できる。米国の研究によると、ディーゼルオイルに20%のバイオディーゼル油を添加すると、ディーゼルオイルをエンジン内で十分に燃焼させることができ、有害物質の排出量を50%削減できるという。

 ◆脱穀後の茎がバイオエタノールに

 秋の収穫後、畑は一面の荒れ地と化し、脱穀後の茎のみが残される。これらの茎は燃焼により灰になる運命だが、その際に有毒の有害物質が排出され、大気を汚染し健康を損ね、時には火災を引き起こす。

 中国科学院過程工程研究所バイオマス工程研究センターの陳洪章主任は、この廃棄物とされているモノが、バイオエタノールを生産する絶好の原料になるとしている。

 バイオエタノールは期待が寄せられている持続発展可能なエネルギーの一つだ。バイオエタノールは高発熱量の燃料で、一定比率に基づきガソリンと混ぜることで、エンジンを改造することなく純粋なガソリンと同じく使用できる。現在道路を走っている自動車は「油」を飲んでいるが、将来的には「アルコール」を飲むだけで良くなるかもしれない。

 その他の再生可能エネルギーや石油代替エネルギーと比べ、バイオエタノールは中国で早くから発展しており、大規模な市場を持つ。中国の自動車用バイオエタノール産業は、2010年に生産量が180万トンに達し、ブラジルと米国に次ぐ世界3位のバイオエタノール生産国・消費国になった。


地溝油と、地溝油から精製されたバイオディーゼル油。
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