2013年09月16日-09月20日
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中国西部の太陽光発電 20年内に6千キロの送電を実現か

2013年09月18日

 「太陽エネルギーの父」と呼ばれるオーストラリアの科学者マーティン・グリーン氏は、「2013年ノーベル賞受賞者北京フォーラム」の開催期間に、独占インタビューに応じた。グリーン氏は、今後20年内に中国西部の太陽光発電で得られた電力が、6000キロ離れたポーランドに輸送されると予想した。科技日報が伝えた。

 グリーン氏は、「太陽光発電の使用普及を妨げているのは、電力の貯蔵や送電などの技術的なボトルネックだ。送電網と連結していないため、多くの独立した太陽光発電設備(街灯など)の電力貯蔵設備が壊れやすくなっており、太陽エネルギーの使用コストが上昇している。太陽光発電が総発電量の14%を占めるドイツでは、すでに太陽光発電と揚水式発電と組み合わせた方法が採用され始めている。これは日中の余分な太陽エネルギーを利用して水を高い場所にくみ上げておき、夜間にはこの水を放流して発電するという方法だ。これにより太陽光発電設備は、100年たっても取り替える必要がなくなる」と説明した。

 太陽光発電と公共送電網を連結することで、太陽光をより良く活用できる。グリーン氏は、「中国西部には絶好の太陽エネルギー資源があり、将来的には中国東部に遠距離送電できる。遠距離送電、外国との送電網の連結の問題を解消すれば、20年以内に中国西部の太陽光発電で得られた電力をポーランドにまで送電できるようになる。この距離は現時点で世界最長の送電距離の2倍に相当する」と語った。

 グリーン氏は、「世界の太陽エネルギー送電網の連結により、昼の地域が夜の地域に電力を送電する。これは太陽エネルギーの技術発展の良好なすう勢だ。2050年までに、太陽光発電量は世界の発電量の25%を占め、2100年には3分の2以上に達する。その時点になれば、太陽光発電は最も安価な電力を提供できるようになる。太陽光発電の民家への普及が促進される。中国はすでに世界最大の太陽光発電製品の生産国であり、2015-2016年に世界最大の太陽光発電エリアになる見通しだ」と予想した。

 ◆マーティン・グリーン氏の経歴

 1948年生まれのオーストラリア人。現在は豪ニューサウスウェールズ大学教授、超高効率光エレクトロニクス研究センター長で、「太陽エネルギーの父」と称されている。世界エネルギー技術賞など、数々の権威ある賞を受賞。2002年にはイグ・ノーベル賞を受賞し、同年さらにライト・ライブリフッド賞を受賞した。

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