2013年09月23日-09月27日
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高速鉄道 中国人の生活に激変をもたらす=米メディア

2013年09月25日

 4年前の運行開始時、巨大な洞窟のような長沙市の高速鉄道駅はガランとしていた。いまやこの風景は、過去のものとなった。中国の高速鉄道の運行開始から5年後、その毎月の乗客数は中国国内の航空便の2倍弱に達した。来年の年初には、毎月の乗客数が延べ5400万人に達する米国国内便をも抜く見通しだ。ニューヨーク・タイムズ(ウェブ版)の9月23日の記事を引用し、環球時報が伝えた。

 広州市の靴製造工場で働く李暁紅(音訳)さんは、毎月のように高速鉄道を利用して娘のいる長沙市に帰る。以前は移動に丸一日の時間がかかったため、年に1回しか帰郷していなかったが、現在はわずか2時間19分で帰郷できるようになった。甄啓楠(音訳)さんは企業の役員で、遅延が多い航空便を避け、高速鉄道で全国各地の会議に向かう。甄さんは、「変化がこれほど目まぐるしいとは思わなかった。目新しかった高速鉄道は今や、私たちの生活の一部になった」と語った。

 高速鉄道は当初誰にも予想できなかったサクセスストーリーだ。エコノミストと交通輸送の専門家は、高速鉄道は中国経済の持続成長の原動力であり、その他の新興国が発展の中で困難を抱えている原因の一つと指摘した。しかし中国も代価を支払わなかったわけではない。巨額の負債、大規模な立退き、重大事故の発生、入札における腐敗問題などだ。

 紛れも無く、高速鉄道は人々の想像を上回る方法により、中国を変化させた。世界銀行の報告によると、すでに高速鉄道が開通した中国の都市では、労働者の生産性が普遍的に上昇する可能性があるという。高速鉄道で数時間の距離に、一千人、一万人単位の潜在的な顧客・従業員・競合他者が存在することになり、企業の生産性が引き上げられるというわけだ。北京や深センのような大都市では、企業が続々と研究開発センターを開設している。そこには高等教育を受けた多くの若きエリートが存在する。彼らが給与水準と地価が低い都市の工場に日帰り出張するのも、利便性が高くなる。世界銀行のベテラン交通専門家(北京駐在)は、「多くの企業が経営方式を変えている」と語った。

 西側諸国が、中国の成功モデルを真似するのは難しい。中国の都市化のペースに追いつける地域がほとんどないばかりか、中国の人口は米国の4倍で、しかもそれが国土の3分の1の面積を占める東部に集中しているからだ。中国の高速鉄道はさらに、世界で最も野心あふれる地下鉄建設プロジェクトとセットになっている。これにより多くの人が、スムーズに高速鉄道の駅に入れる。

 高速鉄道は中国内陸部のビジネスマネージャーたちをより大きな市場に進出させている。沿海地方の人件費高騰に伴い、外国人の役員も内陸部に視線を向けるだろう。長沙市の某企業の販売担当者は、「以前は私たちの方から広州に行き欧州の取引先と商談していたが、今や彼らはより頻繁に長沙市を訪れるようになった。ただ一つ都合が悪いのは、高速鉄道の利用者が増え、混雑するようになったことだ」と述べた。

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