2013年10月07日-10月11日
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携帯のプリインアプリ 中国で「禁令」が発表

2013年10月16日

 中国工業・情報化部(工業・情報化省)が来月より正式に施行する「モバイルスマート端末ネットワーク接続管理の強化に関する通知」(以下、同通知)には、「携帯電話メーカーはソフトをプリインストールする際に、中国工業情報化部の審査を受けなければならない」と明記された。また同規定は、「携帯電話メーカーはユーザーの同意を得なければ、ユーザー情報を恣意的に収集・改ざんするソフト、ユーザーの通信量の消耗・費用の損失・情報漏えいなどの悪影響をもたらすソフトをインストールしてはならない」とした。科技日報が伝えた。
 アプリを中心とするスマホ時代、多くのユーザーは携帯電話にプリインされているアプリの「束縛」を受けており、10種類以上のアプリがアンドロイド携帯にプリインされることが常態化している。これらのアプリには、携帯電話メーカーのアプリ、第三者のアプリが含まれる。消費者はこれをアンインストールできず、悪意ある課金、ユーザーの個人情報の窃盗などの安全リスクが生じている。
 中国製携帯電話のプリインには、主に次の三つの手段がある。(1)通信キャリアが携帯電話メーカーに発注する際に、自社の関連アプリを強制的にインストールするよう求める。(2)携帯電話の工場出荷時に、携帯電話メーカーが自社もしくは第三者のアプリをインストールする。(3)携帯電話の小売販売の際に、小売業者が販路拡大を口実に、ソフト開発業者と協力してプリインする、もしくはその後のシステム書き換えでプリインする。
 中国工業・情報化部の上述した「禁令」は、プリインアプリの氾濫解決に向け、希望の光を見せたかのように見える。しかし同規定が、ユーザーを最後まで安心させることは難しい。
 中国モバイルネットワーク産業連盟の李易秘書長は、「同規定は、携帯電話の出荷の面から携帯電話メーカーに規制をかけるのみで、これに関連する監督や罰則が発表されていない。携帯電話の工場出荷から消費者の手元に届けられるまでの期間は、監督管理を受けない『真空地帯』であり、マルウェアのプリインに付け入る隙を与えている」と指摘した。
 もとより利益の薄いローエンド携帯電話メーカーにとって、プリインアプリは重要な収益源となっている。これらの企業は携帯電話の工場出荷前に、政府部門のネットワーク接続許可を得ることで、小売の際にアプリをプリインできる。
 プリインアプリは中国国内で、膨大かつブラックな産業利益チェーンを形成しており、携帯電話メーカー、通信キャリア、各小売業者、アプリ開発業者、販路拡大支援業者などとつながっている。技術的な面からこの産業チェーンを断ち切ることは決して難しくないが、プリインアプリの氾濫を取り締まる側に直接的な原動力と積極性がないため、消費者の利益が犠牲にされている。

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