2013年10月21日-10月25日
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中国の生物群系 温暖化で面積・位置が変化

2013年10月30日

 大自然保護協会が29日に開催した発表会において、気候変動・保護の専門家である陳艾氏は、「中国の20の生物群系は気候変動の影響により、今後50-100年に渡りその位置を変える。そのうち18の生物群系は、標高が高い地域に移動するだろう」と語った。科技日報が伝えた。
 同協会は2009年、「中国の32の陸地生物多様性保護優先区に対する気候変動の影響と適応」と題するプロジェクトを開始した。模型を利用したシミュレーションによると、すべての主要生息地の年平均気温が今後50年間で3度上昇し、温室効果ガスの排出量が「中等」の場合は、今後100年間でそこからさらに2度上昇する見通しとなった。年間降水量も、31.68ミリから104.63ミリ増加する。
 同プロジェクトの担当者である馬剣氏は、「中国には現在、20の生物群系が存在する。2050年には熱帯半常緑林が追加され、2100年には熱帯半常緑林・熱帯落葉樹林・熱帯乾生林が追加され、不毛の地は2100年までにほぼ消失する。また面積が拡大する生物群系は12に達する。その中心となるのは亜熱帯混交林と亜熱帯常緑林で、後者の面積は10倍に拡大される。面積が減少する生物群系は7に達し、そのうち減少幅が最大となるのは温帯落葉広葉樹林だ」と説明した。
 陳氏は、「過去30年間の気候変動は、保護区内の種の分布範囲と存在度の変化に大きな影響を及ぼし、一部の種は絶滅に追い込まれた。予測によると、未来の気候変動はさらに種の分布を変化させ、絶滅のリスクを引き上げる。しかし現在の中国国内の保護計画は静態が中心で、未来の気候変動の影響が加味されていない」と指摘した。
 陳氏は、「中国で現在最も重視すべき地域は横断山脈の南側、岷山・横断山脈の北側だ。この二つの地域は絶滅の危機に瀕している、希少価値の高い種が豊富で、かつ気候変動に敏感だ。両地域は今後50-100年間の暴露度と植物の変化が最も激しく、気候変動の影響を最も受けやすい脆弱な地域だ。ゆえに優先的に気候変動への適応と保護に取り組む必要がある」と警鐘を鳴らした。

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