2013年10月21日-10月25日
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ウェアラブルデバイス 市場繁栄の前提条件とは?

2013年11月01日

 中国検索最大手・百度と中国セキュリティソフト最大手・奇虎360は29日、それぞれのウェアラブルデバイスを発売した。百度のウェブサイトによると、百度雲(百度クラウド)のウェアラブルデバイス「◆●ブレスレット」、「inWatch」がすでに発売されている。奇虎360にとって初のウェアラブルデバイス「360児童衛士」も、神秘のベールをはがされた。光明網が伝えた。
 ウェアラブルデバイスに関しては、1960年代の米国まで遡る必要がある。マサチューセッツ工科大学は当時、「ウェアラブル技術」というコンセプトを提唱した。同技術を利用すれば、マルチメディア・センサー・無線通信などの技術を人々の服に搭載し、ジェスチャーや目の動きなどによるさまざまな交流方法をサポートできるというのだ。
 近年最も注目を集めているのは、グーグルの「Google Glass」だ。同製品は音声制御・ナビゲーション・カメラ・動画・チャットの機能を集約しており、SFチックで未来感あふれる出来栄えとなっている。それからサムスンの「Galaxy Gear」は、1.63インチのAMOLEDディスプレイ、ブルートゥース、カメラを搭載している。またアップルの「iWatch」も注目を浴びており、2014年に発売されると予想されている。
 ウェアラブルデバイスは広大な市場を有する。その出荷台数は2017年に6400万台を超え、2012年の830万台の8倍以上に達すると分析されている。
 現代は科学技術が人々の暮らしを包み込む時代だ。ウェアラブルデバイスはモノのインターネットに根ざし、その製品はスマート端末から健康状態や行為を察知するセンサーなどよりどりみどりだ。技術普及に伴い、ウェアラブルデバイスの日常的な使用量は、数年後に1人平均10台に達すると予想されている。人々が10数台のハイテク装置を携帯する様子は、今日の我々では想像もつかないことだ。ゆえにユーザーエクスペリエンスの優劣が、製品の出来栄えを左右することになる。
 当然ながらウェアラブルデバイスの将来性について、次の懸念を抱く人もいる。(1)バッテリーの問題。(2)大ヒット製品の不在。(3)高価格、コストパフォーマンスの問題。例えばGoogle Glassのバッテリーは一日ももたず、操作も音声が中心で、言葉が喋れない場合は機能が利用できなくなる。
 上述した問題よりも最も重要なのは、倫理とプライバシーの問題だ。関連技術の設計によると、ウェアラブルデバイスを使用する際、利用者の言葉や表情、さらには一部の身体的特徴も記録される可能性がある。専門家は、「将来的にウェアラブルデバイスが世の中に氾濫すれば、自分の話が相手に証拠として記録されることを懸念するようになるだろう」と指摘した。これは杞憂ではない。実際に一部の店舗(カフェや映画館)では、「Google Glass使用禁止」の張り紙が出されている。これと緊密な関連を持つのは、政策と基準の制定だ。
 また顔識別技術も大きな懸念となっている。同技術はストーカーの武器になる可能性があるからだ。当然ながら、微信(WeChat、中国版LINE)や陌陌(メッセージングアプリ)が批判されているように、技術の進歩は常に同様の懸念をもたらす。しかしプライバシー漏洩のリスクが抑えがたい条件下、ウェアラブルデバイスの安全リスクに対しては全面的に判断する必要がある。
 中国発展改革委員会は10月に4G産業化に関する通知を出し、モバイルネットワーク向けのウェアラブルデバイスの開発・産業化の発展が提案された。百度や奇虎360などの企業のウェアラブルデバイスの進展は肯定されるべきで、より多くの優秀な企業の参与が期待される。しかしウェアラブルデバイス市場の繁栄は、次の3つの前提条件を満たさなければならない。それはユーザーエクスペリエンス、プライバシー保護能力、関連政策の制定だ。
 *◆は口へんに古、●は口へんに冬

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