吉林省松原市前郭県で10月31日11時3分にM5.5の地震が発生してから11月25日12時までに、同地域で記録された地震の回数は442回に達した。やや強い地震の頻発は、同地域でより大規模な地震が発生する可能性を示しているのだろうか。人民日報が伝えた。
◆特殊な地震発生順序
吉林省地震局地震・火山分析予報センターの研究員である楊清福氏は、「同地域の群発地震は、西太平洋プレートの西への衝突と圧力によるものだ。5回のM5以上の地震はいずれも松遼盆地内で発生しており、地震発生順序は群発地震に属する」と指摘した。
楊氏は、「観測されたデータによると、同地域では歴史的に、これと類似する群発地震が発生したことはない。今回の地震の順序は特殊だ。10月31日のM5.5の地震発生後、観測データの示すマグニチュードが全体的に低下したが、11月22日と23日にM5.3・5.8・5.0の地震が発生した。現在M4以上の強い余震が頻発しているが(そのうち多くは2回連続)、M3以下の弱い地震は発生していない」と説明した。
◆震源断層、明らかな拡張はなし
楊氏は、「地震発生の分布を見ると、同地域のM5以上の地震とその余震は、9×5キロの範囲内に集中し、震源の深さは6-10キロ内に集中している。震源断層には明らかな拡張が見られない」と指摘した。
楊氏は、「観測データを見ると、吉林省の同地域および付近の歪み・流体・電磁波などの予兆にも新たな変化はなかった」としながらも、「今回の地震は発生の順序が複雑なため、同地域でM5級の地震が発生する可能性に注意し、警戒を強めるべきだ」と注意を促した。
中国地震台ネットワークセンター予報部副主任の張永仙氏は、「このほど地震が頻発している。地殻内の地震活動は一定ではなく、密集の現象が生じる。高い頻度は、必ずしも異常を示すものではない。しかし世界的に見ると、2004年よりM8-9の地震が連続的に発生しており、活動が比較的に活発な時期と言える」と分析した。
有名な地球物理学者、中国科学院院士の石耀霖氏は、「地震の発生には、一定の周期は存在しない。東北平原の岩石は堆積岩で、岩石が土壌の下に位置する。現在の地質・物理の判断によると、大規模な活断層が発生しておらず、またブン川地震(ブン=さんずい+文)のような数百キロに渡る断裂の条件は備わっていない」と指摘し、「同地域の地震の発展に対しては正確な判断が必要で、より多くの資料を収集・分析しなければならない」と警鐘を鳴らした。
楊氏は、「吉林地震局は地震発生順序の変化に注目し、同地域の地震発生範囲の拡張、および地震に伴うさまざまな異常現象を注視する。また3時間おきに地震の予兆に関する観測データを分析し、異常情報を一つも漏らさず、地震発展のすう勢を正確に把握する」と強調した。