2013年11月18日-11月22日
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含塩アルカリ土、CO2を吸収することが証明=中国研究チーム

2013年11月27日

 科学者が世界の炭素収支に関する研究と計算を進める中、予想される値に比べると、20%弱の二酸化炭素が行方不明であることが判明した。これは「失われた炭素」、「炭素のブラックホール」問題と呼ばれている。中国科学院が明らかにしたところによると、中国人・外国人科学者の研究チームがこのほど上述した問題の答えを導き出し、かつ世界で初めてアルカリ土が二酸化炭素を吸収することを証明した。関連する研究成果はこのほど、中国科学技術部(科学技術省)の検収に合格した。科技日報が伝えた。
 国家重点基礎研究発展計画(973計画)のプロジェクト「乾燥地帯における含塩アルカリ土の炭素の過程および世界的な変化」が、2009年1月に正式に開始された。中国人科学者が研究チームを率い、中国・ドイツ・ベルギーの58人の科学者がメンバーとなった。約5年の期間を経て、同チームは200編の論文を発表し、そのうち約100編が国際3大データバンクに収録された。同チームの研究成果は次の通り。
 含塩アルカリ土が二酸化炭素を吸収することを証明し、世界で初めて含塩アルカリ土の無機炭素吸収の複雑性(化学的な過程・物理的な過程・生物的な過程が含まれる)を論証し、定量的計算の公式を発表した。
 無機炭素の吸収ルートを特定した。炭素はオアシスの灌漑排水、砂漠地帯の洪水、地下水の波動に伴い地下の塩水に入る。地下の帯水層が、乾燥地帯の物質の最終的な宿りとなる。無機炭素の運び手は塩分を除去する灌漑用水だ。水は含塩アルカリ土に触れると塩水になる。塩水は大量の二酸化炭素を溶解・携帯し地下の帯水層に入り、炭素吸収源となる。乾燥地帯の岩塩アルカリ土の開発は、塩分を除去する必要があるが、その際に炭素吸収源が形成されるのだ。つまり乾燥地帯の人類の活動の拡大は、炭素吸収源の強化を意味し、自然環境と良性のサイクルを形成することになる。
 乾燥地帯の巨大な地下無機炭素バンクを発見した。乾燥地帯の地下塩水は陸地の土壌や植物と並ぶ、第3の大規模な稼働中の無機炭素バンクで、その規模は1兆トン級と見積もられている。その特徴と形成の過程によると、この無機炭素バンクは陸地の土壌・植物よりは海洋の方に近い。実測値を見ると、砂漠の地下の塩水に含まれる可溶性無機炭素は、海水の2倍以上に達する。

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