嫦娥3号 打上げから月面着陸までの13日間を追う

2013年 12月2日

 中国国家国防科技工業局が発表した動画で明らかになったところによると、2日1時30分の打上げから、月の虹の入り江地区への軟着陸まで、月探査機「嫦娥3号」の旅は13日間に達する。北京青年報が伝えた。

 この旅について、北京大学地球・空間科学学院教授、中国空間科学学会空間探測専門委員会副主任の焦維新氏が本誌の取材に応じ、分析を行った。
 ◆第1段階:5日間の飛行
 2日1時30分、嫦娥3号を搭載した長征3号乙遥二十三ロケットが、西昌衛星打上げセンターから打上げられた。嫦娥3号はロケットによって、近地点200キロ、遠地点約38万キロの地球から月に向かう遷移軌道に入った。飛行時間は約5日間で、その間に2-3回の修正を行う。
 焦氏は、「嫦娥3号の今回の月に向けた飛行は、嫦娥2号よりやや長くなる。これは飛行時間と距離が長いルートを選択したためだが、このホーマン遷移軌道はエネルギーを節約できる」と説明した。
 ◆第2段階:円軌道で月を4日間周回
 月に接近すると、100×100キロの円軌道に入り、4日間の飛行を経て、時期を見計らい軌道を変更する。
 焦氏は、「この4日間で月に対する科学観測が可能で、この機会を利用し多くのデータを獲得し、最後の着陸地点の確定に備えることができる」と説明した。
 ◆第3段階:楕円軌道で月を4日間周回
 軌道変更後に100×15キロの楕円軌道に入り、4日間の飛行を経て、高度約15キロから動力降下を開始する。
 焦氏は、「楕円軌道は月から15キロ、虹の入り江地区の上空に接近する。嫦娥3号はこの4日間に予定している着陸地点のより正確な探査・測量を実施し、クレーターや巨大な岩がないことを確認する。円軌道の4日間の飛行が月を見るだけならば、その後の4日間は詳細に見ることになる」と説明した。
 ◆第4段階:降下720秒後に着陸
 動力降下の時間は720秒だ。嫦娥3号はマイクロ波・レーザー距離計を使用し、月までの距離と速度を計測する。光学画像化センサーを使用し、接近段階の大まかな障害物の回避を実施する。レーザー3D画像化センサーを使用し、空中静止中に細かな障害物の回避を実施し、安全区域での軟着陸を実現する。
 焦氏は、「嫦娥3号の任務はこれで最も重要な段階、最も見所の多い段階に入る。この短い12分間に示される技術は、非常にハイレベルなものだ。720秒は詳細な計算に基づき導き出された数値だ。嫦娥3号は垂直降下するのではなく、月面と一定の角度を形成し、月面を詳細に観察しながら降下する。これは15キロという距離が、遠距離であるためだ。この12分間内に、急坂、クレーター、岩などの障害物が見つかれば、まだ回避が間に合う。他にも降下の際に一定の高度で静止しなければならず、地上の障害物を最終確認する」と説明した。
 ◆第5段階:月面ローバー「玉兎」が月上陸
 着陸後、時期を見計らい月面ローバーを切り離し、ランダーが作業状態に入る。月面ローバー「玉兎号」は移動装置に乗せられ、月面に到達する。
 焦氏は、「これは具体的な時間が公表されていない唯一の段階であるが、長い時間はかからないはずだ。北京航天飛行抑制センターは、嫦娥3号から送られてきた画面を、最も早い時間に目にすることだろう」と説明した。
 ◆第6段階:月面で3カ月・1年間にわたり作業
 ランダーはその後、月の昼の時間にその場で科学調査を実施し、月面ローバーは月面探査を実施する。月の夜が訪れると両者は電源を切りスリープモードになり、放射性同位体熱電気転換器により全体の温度を維持する。夜が明けると、太陽光により自ら目覚め、探査を継続する。ランダーの月面での作業時間は1年間、月面ローバーは3カ月間に達する。
 焦氏は、「月面ローバーの設計上の作業時間は3カ月間だが、もし故障やクレーターにはまるなどの事故がなければ3カ月以上作業することも可能だ」と説明した。


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