嫦娥3号、世界最先端の技術を集約

2013年 12月12日

 月探査機「嫦娥3号」は12月10日夜、8日間の飛行を経て、月の裏側で減速し月周回軌道に入り、月面着陸の準備段階に入った。科技日報が伝えた。
 嫦娥3号は巡視探査機(月面車)と着陸機によって構成される。巡視探査機はこれまで人々の注目を集めてきたが、着陸機については、それほど取り上げられていない。しかし、地球を離れ月に到達し、月面着陸し、最終的に巡視探査機を切り離すまでの過程において、着陸機は最大の功労者となる。本紙記者はこのほど嫦娥3号の誕生地、中国航天科技集団第五研究院を取材し、このあまりよく知られていない着陸機に関する理解を深めた。
 ◆効果的な「ダイエット」
 嫦娥3号の着陸機は、着陸の際の衝撃緩和、誘導・抑制、推進、熱コントロール、測量・抑制データ送信、アンテナ、一次電源、全体回路、ペイロードなどの11のサブシステムに分かれており、300時間以上・数十万キロの飛行、および複雑な着陸、巡視探査機投入などの動作を実現できる。
 複雑な設備が搭載されているが、推進剤を除く同着陸機の重量は1トン余りで、一般的な自家用車よりも軽量なほどだ。これは技術者による、効果的な「ダイエット」によるものだ。
 推計によると、宇宙に輸送する物資の重量が1キロ増えるたびに、数万ドルのコストが追加される。つまり、着陸機の「ダイエット」は、直接コストの節約になるということだ。そのため着陸機の電子システム、データ管理システムなどは、集約化設計を採用した。材料もマグネシウム合金などの軽い材料を使用し、これだけでも30%の軽量化を実現した。
 ◆綿密な燃料使用計画
 着陸機の自重はそれほど重くないが、燃料はその倍以上の約2.5トンに達する。この燃料は一見したところ多いように思えるが、その使用については綿密に計画されている。
 技術者の計画によると、着陸機が月に向かう数十万キロの道のりにおいて、消耗される燃料は50キロ未満で、非常に省エネだ。
 初期段階の節約は、重要な時期に備えるためだ。着陸機が月接近制動を実施するたび、約1トンの燃料が消耗される。最後のわずか十数分の着陸段階において、約1トン半の燃料が消耗される(全体の60%)。
 ◆着陸後も任務継続
 安全に月面着陸し、巡視探査機を切り離しても、着陸機はまだ「勇退」しない。着陸機は地形撮影カメラ、天体望遠鏡、極紫外線カメラを使用し、その場で科学調査を実施する。着陸機は中国が月に建てる宇宙観測ステーションになり、科学研究を力強く支え続ける。
 着陸機はこの期間、月の厳しい環境の試練を乗り越えなければならない。月の昼は地球上の約10日間に相当し、この間に着陸機の翼状のソーラーパネルは太陽の動きに従い回転し、休まずエネルギーを蓄積する。月の夜は地球上の約17日間に相当し、気温は氷点下150度以下まで下がる。この際に着陸機は電源をオフにしスリープ状態に入り、放射性同位体熱電発電機により全体の温度を維持し、新しい朝が訪れるまで待機する。太陽の光が強くなるに伴い、電気信号を出し目覚めることになる。
 ◆先進的な設備を集約
 中国で現在、開発が最も困難な宇宙船である同着陸機には、新技術・製品が80%以上搭載されている。
 着陸機は先進的なGNCシステム(誘導制御システム)、推進システム、熱コントロールシステム、着陸緩衝システム、中国初の可変コンダクタンスヒートパイプと、世界先進水準のCCPL回路を搭載しており、昼夜の気温差が約300度に達する月でも正常に作業できる。また大範囲・高精度非協力距離・速度測定技術、推力制御エンジンなどは、幅広い応用性を持つ。
 この斬新な着陸機には、航空事業関係者の汗水が凝縮されている。統計データによると、同着陸機の開発期間は6年にものぼり、全体・サブシステム・単一ユニット・部品・モジュールの、設計・シミュレーション・開発・試験に参加した協力部門は200社以上に、研究者は4000人以上に達する。


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