2013年12月23日-12月27日
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中国インターネット業界、2013年の十大動向が発表

2013年12月26日

 人民日報・新興メディア版と人民網研究院はこのほど、「中国インターネット発展十大動向」を発表した。選考対象は、2013年の中国インターネット分野で影響力と先見性を持つ事件・現象・すう勢。同活動は2011年より3年連続で続けられている。
 1.モバイルアプリ、インターネット発展の新たな原動力に
 携帯電話ユーザーは中国最大のネットユーザー源となっており、モバイルアプリが2013年中国インターネットアプリ発展の主な原動力になった。中国インターネット情報センター(CNNIC)の第32回「中国インターネット発展統計報告」によると、2013年上半期に使用率で1位となり、使用率が上昇を続けたインスタントメッセンジャーの場合、その成長率上昇は主にモバイル端末によるものだった。すべてのアプリのうち成長率が最も高かったのはオンラインニュース(17.5%)で、これはモバイルネットワークの発展による短時間の閲読の需要増によるものだ。2013年にモバイル端末向けのEC系アプリの使用率が、全体的に上昇傾向を示した。携帯端末はすでに、インターネットアプリの大規模成長の重要な突破口になっている。
 2.インターネット、中国の社会・政治・生活に全面的に浸透
 中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が11月11日に議決した「改革の全面的深化における若干の重大な問題に関する中共中央の決定」は、社会主義民主政治制度の建設強化、法治中国の建設推進、権力行使の制約・監督体制の強化、社会管理体制の革新などについて、インターネットの役割発揮に関する要求を明記した。内容は下記の通り(一例)。ネットワークプラットフォームの建設・健全化などの形式による、人民代表大会代表と国民のつながりの密接化。汚職撲滅・清廉政治を提唱する制度・体制の健全化、インターネットの監督の運用と規範化。指導と法に基づく管理を結びつけたネット世論業務構造の形成。陳情制度の改革、オンライン受理制度の実行。
 3.ネット公共空間のクリーン化
 最高人民裁判所、最高人民検察院は9月9日、「情報ネットワークを利用した誹謗など刑事事件への法律適用における若干の問題に関する説明」を発表した。同説明では、情報ネットワークを利用して事実を捏造し他者を誹謗中傷し、社会の秩序と国家利益を著しく損ねた罪や、騒動挑発罪・恐喝罪に適用される刑法の条項を明記し、ネット情報伝播およびネット上の言論発表に関する法的な線引を明らかにした。これはネットを利用した誹謗中傷などの犯罪行為の懲罰に対して、明確な法的尺度を提供した。
 4.ネット金融、伝統的な金融に打撃
 アリババ・グループは6月、同社の決済サービス「支付宝」を基礎とし、オンラインファンドサービスの「余額宝」を発表した。同サービスは決済や口座振替の他に、銀行より高い利子を得ることができる。百度はその後「百発オンライン金融商品」を、テンセントは「微支付」、「基金超市(ファンドスーパー)」を、新浪は「微博銭包(お財布ウェイボー)」を、京東商城は「京保貝」を提供した。インターネット大手各社が、金融業界の局面に揺さぶりをかけている。
 5.「ネット+」のビジネスモデル、伝統業界に変化を
 オンライン教育、オンライン医療、オンライン旅行など、伝統業界とインターネット技術の融合により生まれた「ネット+」のビジネスモデルが、2013年に製品・販売ルート・サービス・収益などの各方面から業界の既存の業態を打破した。オフラインの伝統産業の多くが、インターネットに取り込まれた。
 伝統的な業界とインターネットの融合・再建により、新たな活力が生まれている。インターネットへの転向・融合・統合により、資金フロー・情報フロー・物流の「三流融合」が実現でき、産業・サービスにモデルチェンジとアップグレードの機会をもたらす。
 6.4G技術、ネット民の「無限のネットサーフィン」を実現
 中国工業・情報化部(省)は12月4日、中国移動(チャイナ・モバイル)、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)に「LTE/ TD-LTE」の経営許可証を発行し、中国の電気通信産業が4G時代に突入した。4Gの100Mbpsを超える通信速度は、インターネット産業全体に巨大な変革をもたらし、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、仮想イメージング、画像識別、動画、ゲーム、ウェアラブルデバイス、音声・写真検索などが急発展すると見られる。より質の高い高速なネットワークが、人々の期待を集めている。パソコンによる「ブロードバンド中国」、モバイル端末による4Gネットワークで、中国のネットユーザーは「無限のネットサーフィン」を楽しめる。
 7.ビッグデータ、各種応用手段の発展を促進
 インターネットの高度発展によりビッグデータが生まれたが、ビッグデータは逆にインターネットの各種応用手段の発展を促している。中国のインターネット大手各社が2013年にビッグデータの事業展開を開始すると、政府部門もビッグデータの取り組みを加速した。
 ビッグデータが新たな手段により、大量のデータを分析することで、人々は新しい認識とより高い洞察力を得た上で、問題の処理・解決の新しい効果的な手段を獲得できる。ビッグデータが新たな業態を生み、人々の仕事の負担が減り、経済が活性化し、暮らしの利便性が高まる。
 8.ネット・情報安全が課題に直面
 2013年はネットセキュリティ問題を巡り、国内外で話題が絶えることがなかった。海外では米国のスノーデン事件により、ネットセキュリティ問題がエスカレートした。国内では個人情報の安全、サイバー攻撃、ウイルスの氾濫などが、再び社会の注目を集めた。バーチャル化、ビッグデータ、クラウドアプリ、BYOD(私的デバイス活用)、ウェアラブルデバイスの幅広い普及により、インターネットの情報安全が増加を続ける新たな課題に直面しており、プライベート安全問題が深刻化している。4G時代の到来により、モバイルネットワークアプリの使用が爆発的に増加する。これらのアプリの広範な使用もまた、マルウェアなどに付け入る隙を与える。
 人々はインターネットのもたらす便利なサービスを利用すると同時に、より深刻化する安全リスクに直面することが必然的だ。
 9.ECが力強く発展
 11月11日の「独身の日」に、C2CのタオバオとB2Cの天猫(Tmall)の1日の売上高が350億元に達し、全社会1日あたり消費財小売総額の49.97%を占めた。
 ECの内容が日増しに豊富化している。「EC失敗論」が何度も否定されており、衣料品・紡績品はECの売上ナンバーワンの品目になっている。ECの特質を持たないとされていた自動車販売業も、今年初めてECに進出し、好調な業績を記録した。
 10.ウェアラブルデバイス、インターネット第3の市場を開拓
 ウェアラブルデバイスは、身につけられるスマートデバイスのことで、写真撮影・ビデオ撮影・録音・モニタリング・モバイル端末などの機能を持ち、メガネ・腕時計・ブレスレット・靴・帽子・ボタン・指輪・イヤリングなどの形態がある。モバイルネットワークの発展と技術の進歩に伴い、高性能・省エネ型のICチップのコストが低下しており、ウェアラブルデバイスの実用化が進んでいる。中国のインターネット各社は2013年に、ウェアラブルデバイスの実用化を開始した。百度雲(Baidu Cloud)は第3者と共同でブレスレット、スマートウォッチ「inWatch」、スマート血圧計「MUMU」、体脂肪測定器「Latin」を発売した。奇虎360は、GPSトラッキング機能付きブレスレット「児童衛士」を発売した。調査会社・艾媒咨詢(iiMedia Research)は、中国のウェアラブルデバイス市場の出荷台数は、2015年に4000万台に達すると予想した。

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