全国政治協商会議委員、中国科学院院士の楊元喜氏は3日の取材に応じた際に、「中国は4基の北斗測位システム試験衛星と16基の北斗測位システム衛星を発射している。北斗システムの建設の3ステップ戦略の第2ステップの目標、北斗衛星測位エリアのネットワーク化が実現された。北斗システムのアジア太平洋地域における精度と等級はGPSに劣らない。中国はナビゲーション産業の関連政策の制定を急ぎ、同産業の秩序正しい発展を促すべきだ」と指摘した。人民日報が伝えた。
◆北斗システム、通信機能を提供
楊氏は、「中国の北斗システムは急速に発展している。2000年に北斗衛星測位試験システムを建設し、2012年末には北斗衛星測位システムが正式に地域内のサービスを提供した。アジア太平洋地域の大部分の地域に対して、連続受動測位・ナビゲーション・時報などのサービスを正式に提供した。中国は10数年の時間をかけて、世界4大衛星測位システムの一つになった」と説明した。
計画によると、中国は2020年頃までに5基の静止軌道衛星と30基の非静止軌道衛星による北斗グローバル衛星測位システムを構築し、全世界に精度と信頼性の高い測位・ナビゲーション・時報サービスを提供する。
「北斗システムは中国が独自に建設・運営する、世界のその他の衛星測位システムとの間に互換性を持つグローバル衛星測位システムだ。現在の一部の技術水準は向上が待たれるが、運営の効果を見ると、アジア太平洋地域での精度と等級はGPSに劣らない。しかも北斗には独自の特色があり、ナビゲーション・測位・時報の機能の他に、通信機能が備わっている」と語った。
◆電波資源の拡大、産業政策の制定
楊氏は、「北斗システムは現在、技術面で改善の余地が残されている。中国のチップの技術水準、衛星の使用寿命、衛星電波時計の技術水準、受信機の品質などが、北斗システムの発展を制限する要素となっており、技術開発を強化する必要がある」と指摘した。
電波資源とトラッキングステーションの建設は、北斗システムの海外進出を妨げる外部要因となっている。楊氏は、「海外の一部のグローバル衛星測位システムは早期に構築されたため、世界の衛星測位に適した電波資源と衛星軌道資源の多くが利用されている。中国が独自の衛星測位システムを発展させれば、他国のシステムとの間に電波の協調を巡る問題が発生する。ゆえに競争は必然的であり、長期化するだろう。北斗システムのトラッキングステーションは現時点では国内のみに設置されており、世界的な設置を実現するためには長期にわたる交渉と協議が必要になるだろう」と予想した。
楊氏は、「世界衛星測位市場では競争が激化しており、2020年までに宇宙の利用可能な衛星の数は100機以上に達するだろう。中国の北斗システムが国際市場での競争の中で一席を占めるためには、まずその他のシステムとの互換を実現し、システムの高精度・高安定性・高信頼性を維持する必要がある。また透明な政策により、世界の衛星測位システム受信機メーカーと多くの利用者の懸念を解消しなければならない」と主張した。
楊氏はまた、「中国の衛星測位産業の政策にはまだ不備があり、管理が乱れている。国家がより詳細な産業発展計画を制定する必要がある」と提案した。