2014年10月13日-10月17日
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核破砕中性子源加速器、東莞市で取付開始

2014年10月21日

 3年間の土木建設作業を経て、広東省東莞市大朗鎮水平村に位置する中国核破砕中性子源(CSNS)加速器が、このほど設備取付段階に入り、1台目の設備であるマイナスイオン源の取付が始まった。加速器は2017年秋に一本目の核破砕中性子を射出し、2018年春に国家プロジェクトの検収基準を満たす予定だ。人民日報が伝えた。
 中国科学院院士、プロジェクトリーダーの陳和生氏は同プロジェクトの意義について、次のように説明した。
 同加速器を持つ国は、米国、日本、英国の先進国のみだ。同プロジェクトの完成により、生命科学、材料科学、ナノテクノロジー、医薬、国防科学研究、新型原子力エネルギーの開発などの先進的な分野に、力強い基礎的な科学研究の場を提供できる。
 同加速器は物質のミクロ構造を研究する理想的な探針だ。科学者は中性子のエネルギーと運動量の変化を調べ、物質構造に関する情報を得ることができる。
 中国科学院高エネルギー物理研究所正高級エンジニア、プロジェクト弁公室室長の陳延偉氏は、人々が懸念する放射線の問題について、「同加速器は核破砕中性子を射出する装置に過ぎず、原子炉ではない。同加速器は高エネルギー・高フラックスプロトンビームをターゲットに射出し中性子を生成する装置であり、稼働の際にはX線、ガンマ線、中性子などが発生する。放射性はあるが、瞬時にして消えてなくなる。地震などの緊急時に、原子炉を即座に停止できない場合があるが、同加速器が稼働を停止すれば、放射線が直ちに消失し、環境を損ねることはない。また同加速器は地下トンネル内に設置され、周囲は分厚い鉄とコンクリートに覆われている。同加速器から発生した放射線は遮蔽物を通過後に急激に弱くなる。人体への影響は宇宙線の照射を大きく下回り、その約10分の1となる。同加速器の付近で1年間暮らした場合に浴びる放射線量は、航空機に1回搭乗する分にしかならない」と説明した。

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