中国科学院上海天文台が明らかにしたところによると、同天文台の袁峰研究員率いる研究チームは10年あまりの研究の結果、ブラックホールの降着円盤の研究で重要な進展を果たした。人民日報海外版が伝えた。
ブラックホール周囲のガスは、ブラックホールの強い重力に引かれ、少しずつ回転しながら落ち込んでいく(降着)。このようにして形成されるガス円盤は「降着円盤」と呼ばれる。天文学者はこの「降着円盤」の観測を通じて、ブラックホールの真実を解明しようとしている。
ブラックホールは強い重力を持つが、全ての物質とガスを飲み込むわけではない。ブラックホールの近くでは、ガスなどが外に噴射されており、「ジェット」と呼ばれる。研究チームは今回初めてジェットの生成モデルを構築し、断続的なジェットの原因を説明することに成功した。
一般的に、ブラックホールには「勢力範囲」というものがあり、これまではこの「勢力範囲」に入ったガスが全てブラックホールに飲み込まれると考えられてきた。
しかし今回の研究で、ブラックホールの「勢力範囲」に入ったガスのうち、約99%は風によって放散され、最終的にブラックホールに入るのはわずか1%であることが明らかになった。高温降着流の中に風が存在するという理論は、実際の観測を通じて完全に証明された。袁研究員は「ブラックホールの降着円盤には強い風が存在する。大部分のガスは風によって放散され、ブラックホールには入らない。ブラックホールから遠く離れているほど、放散される確率が高くなる」と述べる。
袁研究員の降着円盤に関する研究は、国際的にも高く認められている。同分野で国際的に権威ある論文誌・天文学および天体物理学概観年報 (Annual Review of Astronomy and Astrophysics) にも、袁研究員が執筆した展望・解説論文が掲載されている。