2014年12月01日-12月05日
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中国最深の地下実験室、拡張工事を完了

2014年12月02日

 サイエンス誌(ウェブ版)は11月28日、「四川省凉山州に位置する中国錦屏地下実験室は、垂直にそびえる厚さ2400メートルの岩石に覆われた、世界で最も深い場所にある地下実験室だ」と紹介した。新華網が伝えた。
 中国科学院高エネルギー物理研究所研究員、「千人計画(ハイレベル外国専門家プロジェクト)」入選者の張双南氏が発表した「宇宙時代の天文学研究――宇宙天文観測からノーベル物理学賞まで」によると、宇宙の一般的な物質・ダークマター・ダークエネルギーが宇宙全体の物質・エネルギーに占める比率は、それぞれ4%・23%・73%に達する。しかし現在の物理学で最も成功している粒子物理基準模型でも、宇宙の一般的な物質しか受け入れることができない。つまり人類は宇宙の90%以上の成分をまったく知らないことになる。
 ダークマターは発光せず、電磁波を放射せず、肉眼で見て取ることができない。人類は現在も、計器を使ってこれを検出できていない。しかし科学者は重力によって生まれる反応により、ダークマターの存在を確認している。
 この地下実験室は清華大学が運営し、高純度ゲルマニウム実験、液体キセノン実験という2種類の方法によりダークマターの検出実験を行っている。
 液体キセノンを使ったダークマター検出実験を担当する「熊猫Xチーム」の責任者、上海交通大学およびメリーランド大学の物理学者、「千人計画」入選者の季向東氏は、「我々は究極のダークマター捕捉実験を行っており、20トンの液体キセノンを使用する。これは現在行われている同様の実験に使用されている量を上回る。熊猫Xの現在の使用量は37キログラムだ」と述べた。
 拡張工事を終えた実験空間において、研究者は「天体核物理学」の研究を実施する予定だ。天体核物理は物理と天体物理を網羅する学科で、核(粒子)物理の理論的方法を用いて星の進化などの問題を研究する。

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