2015年03月09日-03月13日
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世界最大の電波望遠鏡、重要な進展を実現

2015年03月11日

 中国科学院国家天文台が発表した情報によると、国際科学プロジェクト「スクエア・キロメートル・アレイ(SKA)」に重要な進展があった。中国を含むSKAの11の参加国、および世界の多くの研究者・エンジニアによる、20カ月以上に渡る取り組みの結果、SKAの第1段階(SKA1)の建設案がほぼ確定され、事務局の審議で議決された。これは世界最大の電波望遠鏡が、建設準備段階の後期に入り、建設段階に向け重要な一歩を踏み出したことを意味する。人民網が伝えた。
 SKA1の総工費は6億5000万ユーロで、2組の世界最先端の望遠鏡設備によって構成される。1つは、約200の放物面を持つパラボラアンテナ群で、南アフリカに建設される。もう1つは、10万以上のダイポールアンテナ(テレビ用アンテナに類似)によって構成される低周波アンテナ群で、オーストラリアに建設される。
 SKAは人類の宇宙探査に新たな革命をもたらす。SKAのフィリップ・ダイヤモンド事務局長は、「SKAは我々の宇宙への認識を覆す。SKAはこれまでのすべての設備より、何倍も先進的だ」と語った。
 SKAの技術担当者のロバート・ブラウン氏は、「この2組の望遠鏡によって、我々は胸が踊るような科学研究を展開できる。例えばパルサーとブラックホールを観測することで、アインシュタインが予言した重力波を測定し、万有引力の理論を検証し、地球外生命体の痕跡を探すことができる。我々はSKAを使い、宇宙の変化の歴史において開拓されていない処女地、宇宙の暗黒時代を観測する。これはビッグバン後の10億年の期間のことで、宇宙で最も古い恒星と星が形成された」と語った。
 SKAの参加国は、オーストラリア、カナダ、中国、ドイツ、インド、イタリア、ニュージーランド、南アフリカ、スウェーデン、オランダ、英国の11カ国。南アフリカとオーストラリアは、アンテナ群の建設地だ。中国科学技術部(省)は中国を代表し、SKAの正式なメンバーとなっている。中国科学院、国内の多くの大学および中国電科集団が、SKAの科学研究と技術開発に積極的に参与している。SKAは2018年に建設開始となる。その設計と建設には、世界20カ国の100以上の研究機関と企業の力が集約される。早ければ2020年に、科学成果の産出を開始する予定だ。

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