2015年05月11日-05月15日
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1メートル級真空式太陽望遠鏡、雲南天文台で竣工

2015年05月20日

 雲南科技奨励弁公室が主催する「1メートル級真空式太陽望遠鏡成果審査会」が、中国科学院雲南天文台撫仙湖太陽観測・研究基地で開かれた。審査委員は、中国科学院院士の艾国祥氏、中国工程院院士の朱能鴻氏、雲南大学教授の張力氏ら天文学・関連技術の学者・専門家。審査委員会は現場試験と質疑応答の結果、「同望遠鏡は機能が完備され、その技術および科学指標は設計上の条件を完全に満たしている。望遠鏡は正常に稼働しており、プロジェクト全体が世界先進水準に達し、世界3大先進太陽観測システムの一つになった。中でも、太陽の縁の高分解能観測は、世界トップレベルに達している」との見方で一致した。中国科学院が伝えた。
 1メートル級真空式太陽望遠鏡(NVST)は、中国の太陽物理・宇宙科学界が太陽の光学・近赤外線観測に用いる主力設備であり、バンド数0.3−2.5ナノメートルの高分解能画像化・分光観測の実現を目標とする。2009年6月に同望遠鏡の定礎式が行われ、中国科学院院長の白春礼氏が出席した。同望遠鏡は2010年9月より試験観測を開始し、2012年9月に正式に稼働を開始した。
 同望遠鏡は世界最大の真空式望遠鏡で、約8つのタイムゾーン内でサブ秒角級の高分解能観測ができる唯一の太陽望遠鏡だ。多くの先進的な観測設備を取り付けており、太陽のマルチバンド高分解能画像化・多分散分光観測が可能だ。同望遠鏡は、太陽表面の磁場に対する初歩的な二次元測量能力を持つ。試験観測以来、約500TBの太陽・太陽活動高分解能観測データを収集している。国内外の太陽物理学者はこれらのデータを利用し研究を進めており、「アストロフィジカルジャーナル」などの世界的に有名な天文学専門誌に多くの研究論文を掲載している。

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