2015年05月11日-05月15日
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着色の新技術、3Dプリント物を彩り豊かに

2015年05月20日

 3Dプリンタを使えば様々な色の物体を作成することができるが、多くの場合は単色だ。製品そのものは細部まで作りこまれているのかもしれないが、外観は面白みがない。
 研究者はこのほど、3Dプリント物に複雑なデザインを水圧転写する新たな技術を開発した。この方法によって作成された物体は、まるで写真のようにリアルになる。浙江大学とコロンビア大学が共同開発したこの方法は、「Computational Hydrographic Printing」と呼ばれる。
 水圧転写技術は、水槽と、デザインが印刷された特殊なフィルムを使用する。まずフィルムを水に浮かべ、着色する物体を水中に沈めると同時に、フィルムに押し付ける。するとフィルムは自動的に広がり、物体を完全に包み込む。物体を水から出すと、デザインは水圧の力で物体の表面にきれいに転写されている。
 水圧転写はこれまで、立体物への正確な転写が難しいとされてきたが、研究者は、印刷する物体の3Dスキャンデータを使い、コンピュータで事前にバーチャルシミュレーションを行うことで、複雑なデザインのフィルムの位置を物体の形に正確に合わせることに成功した。
このコンピュータを使った水圧転写のツールには、垂直のアルミ製電動アーム、毎秒5ミリの速度で上下移動するクレーン型装置、マイクロソフトの「Kinect」が含まれる。
 浙江大学とコロンビア大学の研究チームは、同技術を紹介する動画の中で、印刷された虎のお面、シマウマや猫などの完成品を示した。当然ながら、この方法には限界もあり、例えば、大きな凹面やスキャンできない場所には着色できない。色の混合と正確性も一つの難題だ。フィルムが引き伸ばされる時、一部の色は元よりやや薄くなってしまう。

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