中国人科学者はエボラウイルスの研究で、新たな進展を実現した。中国科学院微生物研究所、中国疾病予防コントロールセンターの高福氏が率いる研究チームは、エボラウイルスがいかにして人の細胞に感染するのかを、世界で初めて分子レベルで説明した。これはエボラ治療薬の研究に、新たなターゲットを提供した。関連論文は米国東部時間1月14日に、世界的に権威ある学術誌「セル」(電子版)に掲載された。科技日報が伝えた。
科学者はこれまで、エボラウイルスが一種のエンベロープウイルスであり、宿主への侵入は二つの重要なステップに分かれることを明らかにしていた。まずウイルスは宿主の細胞膜の表面に粘着し、それからエンドサイトーシスによって細胞内に入り、エンドソームを形成する。ウイルスはエンドソーム内で膜融合を起こし、自らの遺伝物質を放出する。
高氏の研究チームは、人の細胞がエボラウイルスを取り込んだ後、ウイルス表面の糖タンパク質とエンドソーム膜の物質が相互作用を引き起こすことを発見した。この相互作用はウイルスの外膜とエンドソーム膜の融合を促す。ひとたび融合すると、エボラウイルスは自らの遺伝物質を放出することで、人の細胞に感染する。
高氏の研究チームはエボラウイルスの膜とエンドソーム膜がいかに融合するのかを明らかにし、分子レベルで新たなウイルス膜融合刺激メカニズム(第5種のメカニズム)を解明し、エボラウイルスの治療薬の設計に新たなターゲットを提供した。