微小重力科学実験衛星「実践10号」、5つの見どころを紹介

2016年 4月7日

 4月6日午前1時38分、夜空に光が瞬き、耳をつんざく轟音が鳴り響いた。中国の25基目の帰還型衛星、中国初の帰還型微小重力科学実験衛星「実践10号」が、長征2号丁ロケットによって酒泉衛星発射センターから時間通りに打ち上げられた。新華社が伝えた。
 実践8号の打ち上げに成功した2006年から、10年に渡り沈黙を守ってきた中国の帰還型衛星が、ついに帰ってきた。帰還型衛星ファミリーの「先輩」と比べ、実践10号にはどのような変化があるのだろうか?
◆宇宙ステーションより理想的な環境
 中国は2020年頃から宇宙ステーションの建設を開始するが、なぜその他に科学衛星を打ち上げなければならないのだろうか?実践10号チーフサイエンティスト、中国科学院院士の胡文瑞氏は、「宇宙ステーションには、長期的な実験に人が参与できるといった強みがある。しかし残留重力、機械動力、人の活動による干渉が、実験結果に影響を及ぼす恐れがある。実践10号は微小重力科学および宇宙生命科学に特化した衛星で、実験により良い微小重力環境とその他の条件を提供する」と説明した。
 まず、衛星の微小重力水準が向上する。同衛星内は地球の表面重力の10-6Gだが、宇宙ステーション内は地球の重力の10-3Gのみ。次に、同衛星は機動性が高い。実験サンプルを衛星に積み込む時間は、打ち上げ直前が理想的だ。今回の実験に使われる幹細胞、骨髄、胚などは、打ち上げ数時間前に衛星に積み込まれた。また実験終了後、サンプルは帰還モジュールにより迅速に回収され、分析に回される。それから、科学衛星は低リスクで、宇宙ステーションより低コストだ。実践10号は帰還モジュールの他に軌道滞在モジュールがあり、燃焼実験など宇宙ステーションでは危険で行えない実験も、この軌道滞在モジュールで実施できる。
◆実験の精度が向上、リスク低減
 これまでの時間をかけて繰り返す実験方法と異なり、実践10号は赤外線シミュレーター、試験工程デジタル化などの新たな技術手段により、実験の精度を上げた。これにより、実験を繰り返したり、実験に厳しい条件を設けることによって製品に損傷が生じるリスクを下げた。
◆制御・推進システムの改良
 実践10号制御システムチーフデザイナーの戦毅氏は、「新製品は性能と信頼性を大幅に高めた。かつ一体化・高集積度のデザインにより、体積と重量を大幅に引き下げ、積載の空間的余裕を生み出した。同衛星は19の実験機器を積載し、28の科学実験を実施する」と話した。
◆「水陸両用」の偵察兵
 帰還の安全性と信頼性は、実験の順調な完了を左右する。衛星の回収段階の着陸を成功させるため、同衛星にはパルスレーダー受信機という「秘密兵器」が搭載されている。この製品は宇宙船の帰還中の「ブラックアウト(通信不能)」を防ぎ、全過程のリアルタイム観測を実現し、衛星帰還モジュールへの地上測量の精度を大幅に高めた。またメインパラシュートの上部に浮きを取り付けたことで、同衛星は「水陸両用」の偵察兵になり、より複雑な回収条件を満たした。
◆着陸地点は内モンゴル四子王旗
 急速な経済成長により、四川省遂寧市の山間部では住民が増え、新しい家屋が林立している。現地住民の人身・財産の安全を保障し、衛星の捜索と回収を容易にするため、回収条件が整っている内モンゴル自治区四子王旗が選ばれた。


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