2016年04月11日-04月15日
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幹細胞の研究に成果、西遊記の「分身の術」が現実に?

2016年04月19日

 不思議な力を持つ孫悟空はピンチになると、毛を抜きこれをふっと吹くことで、ちょこまか動き回る小さな孫悟空の群れに変化させる。西遊記のこのシーンは、将来的に「神話」ではなくなるかもしれない。青島農業大学生殖科学研究院の沈偉教授が率いるチームは8年間の研究により、実験室内で人の皮膚由来の幹細胞の体外分化に成功し、半数体生殖細胞のサンプル細胞を生成した。これは皮膚由来の幹細胞が体外培養条件下で、生殖細胞に分化する潜在能力を持つことを意味している。沈氏は、「これは将来的に人の幹細胞を利用し、体外培養により、受精に用いる精子もしくは卵子に分化させられる可能性を意味する」と話した。科技日報が伝えた。
 カナダ人科学者は2006年と11年に、ブタとネズミの皮膚由来の幹細胞を使い、卵母細胞のサンプル細胞への分化の誘導に成功した。しかし人の皮膚由来の幹細胞の一定方向への分化は、今まで報告されていなかった。沈氏が率いるチームの研究者は、体外で分離・培養された皮膚由来の幹細胞を使い、特定の誘導因子を持つ条件で一定方向への分化を誘導し、体外条件下で減数分裂させることで、半数体細胞を形成した。この結果は、人の皮膚由来幹細胞が、体外で精子に分化する可能性を示している。沈氏は、「人の皮膚由来の幹細胞が体外誘導により機能的なマッチングを実現すれば、間違いなく不妊治療に新たな方法をもたらす。西遊記の孫悟空が毛を抜き小さな孫悟空に変化させるように、毛根の幹細胞もしくは皮膚の幹細胞を使い精子もしくは卵子を作り、最終的に人間を生み出すことができる」と説明した。

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