2016年04月18日-04月22日
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茶葉の渋みに影響する重要酵素が発見

2016年04月28日

 安徽農業大学の茶の木生物学・資源利用国家重点実験室の夏涛、高麗萍両教授の研究チームは、ポリフェノールのアシル化、グリコシル化、重合反応の研究を行い、茶の渋みに影響を及ぼす重要な酵素と遺伝子を発見し、茶葉の苦味の形成メカニズムを全面的に解明する基礎を固めた。関連する研究成果はこのほど、同分野の世界的に権威ある学術誌「Biochemical journal」「Journal of experimental botany」「科技報告」に掲載された。科技日報が伝えた。
 茶葉に含まれるポリフェノールは主にカテキンで、遊離型カテキンとエステル型カテキンに分かれる。うち後者は約7割を占め、茶葉の渋みを左右する主要成分となっている。研究チームはこのエステル型カテキンを研究対象とし、試験を繰り返し、糖タンパク質グルコース転移酵素(UGGT)と没食子酸エステル転移酵素(ECGT)のエステル型カテキンの形成における重要な役割を証明した。エステル型カテキン合成の重要酵素が見つかったのは学界初。遺伝子発現と酵素の活性を調節することで、エステル型カテキンの合成量を調整し、茶葉の渋みを変えることができる。
 フラボノールもポリフェノールの一種で、茶葉の中では主にグリコシドとして存在し、渋みに影響を及ぼす。研究チームは百種以上の茶の木のグリコシド転移酵素のスクリーニングと系統的な進化分析により、転移酵素のコーディングを行うと見られる2種類の遺伝子「CsUGT78A14」「CsUGT78A15」を発見し、茶葉の渋み成分の形成メカニズムを明らかにした。
 ポリフェノールの合成はこれまで、主に茶の木の地上部分に蓄積されると考えられていた。研究チームは分離・純化および鑑定技術の研究により、茶の木の根に実際に含まれるポリフェノールは約8%であり、主に重合の形式で存在していることを発見した。この研究は、茶葉の渋みの形成メカニズムを全面的に解明する、新たな研究方針を示した。

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