2016年05月02日-05月06日
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中国人科学者、氷河期のユーラシア人のゲノムマップを作成

2016年05月04日

 ネイチャー誌に2日に掲載された論文「氷河期の欧州人の歴史」は、時空的な大枠組み内で51個の氷河期末期の全ゲノムデータのユーラシア系個体を初めて研究し、旧石器時代後期の整った人口動態的変化を初めて明らかにした。中国青年報が伝えた。
 同論文を担当したのは中国科学院古脊椎動物・古人類研究所、筆頭著者は同研究所DNA実験室及び中国科学院・独マックス・プランク研究所DNA研究センター長の付巧妹氏。
 論文によると、今から3万7000−1万4000年前の間、欧州人は高い連続性を持っていた。初期現代人のうち、ネアンデルタール人の遺伝子含有量は短期間内に1.5分の1から3分の1に減少したが、これは異なる人種の混合により薄まったわけではなく、氷河期末期の気候変動による結果である可能性が高い。初期現代人は欧州で重要な群れをなし、その後の人類に大きな影響を及ぼした。当然ながら同地域の一部の群れは、その間に消失した。これらの異なる時空に分布する51個の個体は、自身および所属する群れの遺伝情報を明らかにし、異なる群れの相互関係を反映した。これは既知の考古文化体系間の複雑な関係を明らかにする上で、重要な役割を担う。
 論文によると、氷河期末期後の初の急激な温暖化が、欧州人の群れの構造に大きな影響を及ぼした。彼らは氷河期終了後(今から約1万4000年前)、中近東の人々と強いつながりを持った。
 専門家は、「旧石器時代後期の単一個体のゲノム静態分析と異なり、今回の研究は同時期のユーラシア地域の整った人口動態的変化を初めて明らかにした。また氷河期のユーラシア人のゲノムマップを詳細に描き出し、紀元前の人類の進化の複雑性を示した。これは同分野の研究の重大な進展だ」と指摘した。

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