2016年05月02日-05月06日
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中国人科学者、バードストライクの難題を解消

2016年05月05日

 航空機への鳥の衝突(バードストライク)は、航空機設計における難題だ。西北工業大学の李玉竜教授が率いるチームはこのほど、バードストライクに強い新型水平尾翼前縁構造を発表し、設計の技術上の難題を解消した。中国科学報が伝えた。
 高速移動中は、1羽のスズメの衝撃力であっても、航空機のエンジンを破壊する恐れがある。現在は一般的に、これを避けるため鳥が追い払われているが、根本的な解決策ではない。この難題を巡り、同チームは新たな設計理念を打ち出した。単純に強度や材料を変えるのではなく、機体構造を改良することでバードストライクに対応しようというのだ。
 李教授によると、同チームは水平尾翼前縁の下に三角構造を設置した。水平尾翼が鳥と衝突した場合、この三角構造は鳥の体を切り刻み、エネルギーを分散させることで、衝撃を弱めるという。
 バードストライクの検証において、実際の機種にこの構造を搭載する場合、翼の本来の重量を変えてはならないという最大の問題がある。さもなければ、機体全体の空気動力学的構造が変化することになるからだ。同チームのメンバーである劉軍氏は取材に対し、「これまで多くのシミュレーションと試験・検証を行ってきたが、航空機の重量を10.5キロ減らせば、新型水平尾翼によって効果的にバードストライクに対応できることが分かった。この構造はARJ21-700の水平尾翼の研究開発に応用されており、今後は具体的な機種のバードストライクの検証・実験を行っていく」と話した。
 この新型水平尾翼はすでに米国で特許を取得しており、フランスの特許も出願中だ。同技術は今後、その他の軍機・民間機に応用される可能性がある。関連設備はすでに米国や豪州などに輸出されている。

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