2016年06月01日-06月03日
トップ  > 科学技術ニュース>  2016年06月01日-06月03日 >  世界で今注目を集める8大科学技術、中国での発展は?

世界で今注目を集める8大科学技術、中国での発展は?

2016年06月03日

 重力波、ウェアラブルデバイス、バーチャルリアリティ(VR)、自動運転といった世界の先進的なハイテク技術は、中国人からも注目されている。全国科学技術革新大会、両院院士大会、中国科学技術協会第9回全国代表大会が、このほど北京で開かれた。記者は会場内外の権威ある業界関係者を取材し、これらのホットなテクノロジーをめぐる中国の最新の進捗状況について尋ねた。新華社が伝えた。
◆重力波
 中国の複数の研究チームは現在、重力波の探査と研究を積極的に推進している。中国科学院は2008年、宇宙重力波探査論証チームを発足し、中国の宇宙重力波探査の今後数十年間の発展ロードマップの計画に着手した。現在はすでに「宇宙太極計画」作業チームを発足している。
 中国科学院の胡文瑞院士は、「太極計画が順調に実施されれば、その重力波探査衛星は2035年頃に打ち上げられる。中国は欧州宇宙機関の衛星と同時に、宇宙で重力波探査を単独実施し、探査結果を相互補完・検証する」と述べた。
◆VR
 VRはエンタメ、工業生産、国防・軍事などの各分野での応用が期待されている。
 国務院はこのほど発表した「国家革新駆動型発展戦略綱要」の中で、VRおよび関連技術・分野を「戦略任務」の内容に盛り込んだ。中国ではすでにファーウェイ、楽視網、暴風科技など多くの企業がVR業界に進出している。ゲーム、観光、不動産販売などの分野も、VRの応用を試みている。
◆ウェアラブルデバイス
 スマートブレスレット型デバイスを装着すれば、夜起きるときに照明が自動的にオンになり、外出時にリモコンを使いテレビやエアコンをオフにする必要はない。心拍計一体型イヤホン、センサーつき靴底を使えば、人々は自分の健康状態への理解を深めることができる。中国科学院長春光学精密機械・物理研究所の孔令勝研究員は、「ウェアラブルデバイスは人々の暮らしを変えるだけでなく、ソフトのサポート、データの交流により、スマートネットワーク機能を強化できる。調査会社IDCが発表した今年第1四半期のデータによると、世界のウェアラブルデバイス市場は前年同期比で67.2%の成長率を示した」と述べた。
 孔氏は、「研究開発にせよ実用化水準にせよ、中国は世界と同水準だ。さらに、親子のコミュニケーションを促進するスマートウォッチなど、中国の独自色を見せている」と指摘した。小米科技、歌爾声学などの中国企業は、同分野への進出を開始している。世界的に有名な調査会社GfKのデータによると、中国の昨年のウェアラブルデバイス販売台数は、前年比321%増の1810万台に達した。
◆スマートロボット
 国家発展改革委員会などはこのほど、「インターネット+人工知能三カ年行動実施案」を発表し、2018年までに1000億元クラスの人工知能市場応用規模を形成するとした。世界的に有名な音声認識企業Nuanceの関係者は、「中国で人工知能のさまざまな応用が見られると信じている」と話した。
 中国のスマートロボットは急発展している。うち瀋陽新松ロボット公司の製品は20数カ国・地域に輸出されている。小魚児科技は、自主開発したスマート付き添いロボットを発表した。「小iロボット」は同時に100人の接客が可能で、接客の反応はミリ秒級に達し、広く活用されている。
◆自動運転
 スマートネットワークカー(最終状態は自動運転)の発展は、「メイド・イン・チャイナ2025」戦略計画、「第13次五カ年計画自動車産業発展計画意見」に盛り込まれている。中国は十数年前より自動運転技術の研究を開発しており、現在は百度、テンセント、楽視網、アリババなどのIT企業が自動運転に進出している。
◆量子通信
 中国初の量子科学実験衛星が、今年7月に打ち上げられる。同衛星は世界初の衛星・地上間の量子通信を実現することになる。専門家の潘建偉氏は、「量子通信は将来的に光ファイバーを通じ都市内量子通信ネットワークを構築し、中継器を使い都市間量子ネットワークを実現し、衛星中継を通じ長距離量子通信を実現することで、最終的に広域量子通信ネットワークを構築する」と述べた。情報によると、量子通信ネットワーク「京滬幹線」大スケール光ファイバー量子通信中堅ネットワークが、2016年下半期に世界で初めて構築されることになる。
◆グラフェン
 グラフェンは現在知られている最も薄い材料で、1個の炭素原子の厚さしかない。グラフェンを採用したディスプレイは、紙のように薄くなる。グラフェンはダイヤモンドより硬く、「シャツのような防弾チョッキ」もおとぎ話ではなくなる。清華大学化学部の李景虹教授は、「グラフェンはタッチパネル、電子部品、バッテリー、バイオ医薬品などの分野で高い将来性を持つ」と述べた。
 中国は2015年に「グラフェン産業の革新的発展の加速に関する若干の意見」を発表し、世界に先駆けてグラフェン国家基準の制定を開始した。中国はグラフェン研究・応用・開発が最も活発な国の一つであり、多くの企業がすでにグラフェン製品(グラフェン電子ペーパーディスプレイ、グラフェン自動発熱繊維など)を発表している。
◆水素燃料電池
 中国は今年4月、「エネルギー技術革命革新行動計画(2016−30年)」「エネルギー技術革命重点革新行動ロードマップ」を発表し、15件の重点革新任務(水素エネルギー・燃料電池技術の革新、先進バッテリー技術の革新など)を発表した。
 中国では水素エネルギー路面電車、水素燃料電池ドローンなどの製品が相次いで誕生しており、多くのコア技術が把握されつつある。山東東岳集団研究院の唐軍柯副院長は、「東岳集団はメルセデス・ベンツなどの企業と契約を結び、量産型水素燃料電池膜を共同開発している。製品の発売は2017年を予定。同プロジェクトは、中国が燃料電池の研究開発で優位を占める上で重大な意義を持つ」と話した。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます