2018年01月08日-01月12日
トップ  > 科学技術ニュース>  2018年01月08日-01月12日 >  10大科学のデマ、2017年度版を発表

10大科学のデマ、2017年度版を発表

2018年01月08日

 月の裏側には宇宙人がいる?狂犬病ワクチンは効果がない?重力波が発見されたが、「耐重力波スーツ」による特殊な防護が必要?2017年度の10大科学のデマが6日、発表された。北京日報が伝えた。
 百度の検索データ量を基礎とし、専門家による評価委員会が2017年に発表された94件の科学のデマの中から、その伝播の広さと危険性に基づき投票で選出した。いずれも一般人の暮らしと密接に関連しているデマだ。食品安全に注目した「海苔や春雨、米は全部プラスチック製」や「スイカが400日たっても腐らないのは防腐剤が吹きつけられているから」といったものから、健康に関する「一滴の血でがんを診断できる」や「狂犬病ワクチンは効果なし」、「冷えが関節炎の原因」、「出産後1ヶ月以内は絶対に風にあたってはいけない」、そしてホットな話題と密接に関連した「右脳・左脳派診断、左脳は言語を、右脳は映像を司る」や「月の裏側には宇宙人がいる」、「耐重力波スーツが必需品に」、「浙江大学が量子ステルススーツを開発」などが選出された。

◆狂犬病ワクチンは効果なし?
・専門家の解説 中国疾病予防制御センターウイルス研究所狂犬病室長補佐の蘆学新氏
 世界保健機関(WHO)が発表したデータによると、南極大陸以外のすべての地域に狂犬病が存在し、世界で毎年5万人以上が狂犬病で命を落としている。狂犬病は恐ろしいが、予防と制御が可能だ。直ちに狂犬病ワクチンの暴露後接種を行うことが、最も効果的な手段だ。
 しかしワクチン接種後も、アクシデントが生じる可能性もある。例えばレベル3暴露、もしくは頭部・面部のレベル2暴露で、傷口を徹底的に処理せず少量のウイルスが残り、負傷者が規定通りに正確に受動免疫製剤を用いなかった場合、ワクチンが効果を発揮する前にウイルスが神経系に侵入し、狂犬病が発症する可能性がある。しかしこれは狂犬病ワクチンが役に立たないというわけではない。

◆耐重力波スーツによる特殊な防護が必要?
・専門家の解説 中国科学院高能物理研究所研究院、「慧眼」衛星首席科学者の張双南氏
 どのような物体であっても絶対零度(−273.15度)を上回れば外部にエネルギーを放出する。これはガラスのコップに入ったお湯が、いずれは室温と同じになるのと同じことだ。しかし高エネルギーの電離放射線にしか人体を損ねる能力が備わっていない。これはα線やx線などのことだ。電磁波であっても、長時間強い電磁波にさらされなければ、人体への影響は微々たるものだ。重力波はエネルギーを帯びる時空の波動であり、宇宙に常に存在する。人体への影響は微々たるものであり、直ちに防護しなければならない必要などない。

浙江大学が「量子ステルススーツ」を開発?
・専門家の解説 中国科学院院士、量子情報専門家の郭光燦氏
 「ステルス」は技術としてすでに存在しているが、人々が考えている魔法のようなものではない。例えばステルス機などが存在するが、これはマイクロ波帯に対するものであり、相対性がある。すべてのマイクロ波から身を隠せる新材料は今のところ見つかっていない。一般的に言うと、光が物体に当たりその反射光が目に入れば、それを見ることができる。しかしすべての光を人の目に反射させないコーティング剤は今のところ見つかっていない。

◆一滴の血でがんを診断できる?
・専門家の解説 中国腫瘍防治研究弁公室副主任の陳万青氏
 メディアは2013年に「腫瘍マーカーHsp90αタンパク質」の研究成果を初めて報じた。その際にも同じように一滴の血でがんを診断できるという説が伝わったが、専門家は腫瘍の診断ではなく、モニタリングできると訂正した。がん患者は治療前に検査を受け、治療後に再び採血による検査を受ける。Hsp90αの濃度の変化を比較することで、医師は治療効果を評価し、モニタリングを続けることができるという訳だ。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます