2018年01月29日-01月31日
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税関におけるハイテクの「神器」で作業効率が向上

2018年01月31日

 世界最大の貨物貿易大国として、繁忙を極める港で、人が行き交う口岸(出入国検査場)というのが、輸出入額27兆7900億元(1元は約17.2円)の裏側にある真の光景だ。税関総署がこのほど発表したデータによると、2017年に中国全土の税関が捜査・処理した密輸事件の件数は、前年比24.2%増の3260件で過去最多となった。光明日報が伝えた。
 通関をスムーズにし、より正確に密輸を取り締まるためには、中国の関門を守るハイテクの「神器」が必要となる。

◆コンテナを一目で見透かす「H986」
 世界10大港湾のうち、中国は上海港や舟山港、深セン港、広州港、青島港など7つを占めている。これらの港湾の貨物輸送埠頭に儀仗隊のようにずらりと並ぶコンテナは、貿易の繁栄を証明している。また税関職員に対しては検査と通関の効率を高めなければならないということを促している。
 こうした背景からハイテクの神器「H986」が登場した。これは大型コンテナ検査設備で、放射線画像技術を軸としている。X線の優れた透視力により、コンテナを開かなくても中の貨物を見ることができる。職員はH986の検査画像を分析することで、コンテナそのものだけでなく、貨物の中や輸送車両に隠されている違法品を見つけることができる。 
 人の手でコンテナを開き、商品を調べ、さらにコンテナに詰め直すには、通常2~4時間を必要とする。H986はコンテナを直接スキャンすればよく、1回にかかる時間は30分以内。人の手ではすべての貨物の状況を把握できないが、H986ならば画像によって貨物全体の積み込み状況を見ることができる。違法品の混入、二重層などを暴くことができる。

◆顔認証によるスムーズな通関、密輸を効果的に取り締まり
 港珠澳(香港・珠海・マカオ)大橋珠海道路口岸が、開通に向け最終調整の段階に入っている。拱北税関によると、同口岸は顔認証、監督管理クラウドプラットフォームなどの新型スマート施設を採用する。
 税関総署は昨年11月29日、拱北口岸で正式に「顔認証技術」実地応用試験を開始した。プロジェクトは拱北口岸入境旅客検査の場におけるすべての監督管理通路を含む。使用開始からわずか半月で、入境旅客の密輸・違法行為247件、価値にして約189万5000元を摘発し、密輸行為の取り締まりと抑止に効果的な役割を発揮している。

◆スマート旅客通路は3秒で識別、6秒で検証
 スマート旅客通路は高性能で、3秒以内に各種通行証と各国のパスポートなどの通関証書を識別し、6秒以内にリスク検証を完了し、通路を開くか通報するかを判断することができる。
 2017年下半期、旅客通関安全監督管理プラットフォームと旅客セルフ端末、スマート検査台などが、深セン税関で使用開始された。旅客検査の場に監督管理の新技術と新設備を設置することで、従来の検査監督管理方法に「スマートな脳」を提供し、監督管理の主要面を強化するのと同時に、職員を検査業務における負担から解放し、「ロボットによる業務代行」を実現している。

◆越境EC、大量の小包にハイテクで対応
 中国(杭州)越境EC総合試験区下沙園区税関監督管理エリアで今月24日午前9時半、杭州税関職員が管理ディスプレイを使い、輸入越境商品のリアルタイム通関状況をチェックした。世界各地の小包がラインに乗り、X線スキャナによる税関の監督管理を受けた。
 杭州税関が検査し、同試験区で受け入れた越境小売輸入商品は、今年に入りすでに累計370万点以上に達している。これほど大量の輸入には、特殊な装置が必要となる。
 まずは「越境IoT手持携帯端末」。この一見すると携帯電話のような端末でコードをスキャンし検査することで、越境商品の品名、棚上げ、在庫などの情報を速やかに入手・確認することができる。また疑わしい商品に対してその場で検査の指示を出し、税関作業システムにコマンドを送る。次に4つの科学技術システムで、大量のデータを分析する。事前の設定に基づき、越境商品にリスクファクターがないかをチェックする。さらにクラウドサーバーにより各現場の税関監督管理データを統合し、税関越境ECの総合監督管理及びリスク管理の能力を高める。

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