昨年12月に北京が中国で初めて自動運転走行テスト規定を公布したのに続き、上海や重慶、深センなどでも相次いで関連政策が打ち出され、自動運転車の走行テストが規範化され、人々の交通の安全を保障している。その中で深センは政策への意見公募を行っている段階だ。中国新聞網が報じた。
各地の規定において、自動運転車の走行テストをする場合の車両やオペレーターに課される特別な要求とは?またどのように交通事故の発生を回避するのか?
走行テスト中の自動運転車両の見分け方は?
北京、上海、重慶、深セン(意見公募中)はいずれも、走行テストを行っている自動運転車両には、標識を張り、一般車両とひと目で見分けがつくようにと規定している。
例えば、上海は、走行テスト中の車両は必ず、規定に基づいて、指定の位置に臨時のナンバープレートを置き、走行テスト中の標識を張らなければならないとしている。重慶は、走行テスト中の車両の目立つ位置に「自動運転走行テスト車両」の標識を張らなければならないとしている。
北京智通智能交通産業聯盟の呉瓊・秘書長によると、自動車教習用のエリアや車両がひと目で見分けられるように、自動運転車両の走行テストエリアと車両もひと目で見分けられるように区別されるとしている。一部の道路は、スマート化改造が実施され、自動運転車両の走行に適したより良い環境を提供する。
走行テストのオペレーターになれるのは?
自動車運転免許を持っていても、走行テストのオペレーターになれるわけではない。
上海は、走行テストのオペレーターは、対応する車両の自動車運転免許を取得して3年以上の運転経験がなければならず、さらに、3周期連続で、12点満点の減点記録ゼロのドライバーと規定している。また、直近1年間で定員オーバーやスピード違反などの重い交通違反の記録、飲酒運転などの記録、死亡事故、人身事故といった違反記録ゼロのドライバーと規定している。
北京と重慶も、走行テストのオペレーターは自動車運転免許を取得し、3年以上の運転経験があり、飲酒運転や違法薬物を使用後に運転するといった違反記録がゼロのドライバーと規定している。
走行テストを安全に行うために、重慶は走行テストのオペレーターは連続で2時間以上運転してはならず、間に30分間以上の休憩をはさみ、1日の運転時間は6時間以下と規定している。
また上海は、走行テストのオペレーターは2時間ごとに30分間休憩し、1日の走行テストの時間は計8時間を超えてはならないと規定している。
交通事故が起きた場合の責任の所在は?
配車サービスの米ウーバーテクノロジーズが米アリゾナ州の試験運転中に、自動運転車が歩行者をはねて死亡させていたことがこのほど報じられており、自動運転車が引き起こした交通事故で、歩行者が犠牲になった事故は今回が世界で初めてとなった。同事故の発生により、自動運転の安全性に注目が集まっている。
走行テスト中の車両が交通事故を起こした場合、誰が責任を負うのだろう?北京、上海、重慶、深セン(意見公募中)は、走行テスト中のオペレーターと走行テストを実施する企業団体のいずれも、相応の法的責任を負わなければならないとしている。
北京は、走行テスト中の車両が交通事故を起こしたり、交通規則に違反した場合、そのオペレーターが車両のドライバーと見なされ、市公安交通管理当局が現行の道路交通安全法律・法規の規定に基づいて処理し、そのオペレーターが法的責任を負うと規定している。また、走行テストを実施する企業団体も第三者授権機構に報告しなければならない。
重慶は、走行テスト中の車両が道路交通法規に違反したり、交通事故を起こしたりした場合、そのオペレーターと走行テストを実施する企業団体は、道路交通安全管理当局などの法定当局の認定を受けたうえで、相応の法的責任を負わなければならないとしている。
上海は、人身事故や死亡事故、車両や道路施設を損壊させる重大交通事故が起きた場合、国が認めている交通事故司法鑑定機構が走行テスト車両の技術鑑定を実施し、鑑定費用は走行テストを実施する企業団体が支払うと規定している。その後、公安機関交通管理当局は鑑定の結果に基づいて、責任を認定し、走行テストのオペレーターや走行テストを実施する企業団体に対する処分を決めると規定している。
深センは、走行テストのオペレーター、または走行テストを実施する企業団体の行為に法律違反があった場合、公安機関が法律に基づいて刑事責任を追及する計画だ。