2018年03月19日-03月23日
トップ  > 科学技術ニュース>  2018年03月19日-03月23日 >  仮定から再現へ、中国の風洞技術が飛躍

仮定から再現へ、中国の風洞技術が飛躍

2018年03月23日

 中国科学院高温ガス動力国家重点実験室の職員によると、チームが開発中の新型風洞はマッハ10−25を、試験場の直径は2.5メートルを予定しており、世界最高水準になる見通しだ。科技日報が伝えた。
 同重大プロジェクト首席科学者の姜宗林氏は21日、「先進飛行機の研究開発の場となる、技術水準が最高の風洞の建設をめぐり、世界が競争を展開している。我々が開発中の新型極超音速風洞は、4年前後で竣工する予定だ」と述べた。
 風洞は宇宙船・航空機の発展を促す国の重器で、その世代の風洞技術は同世代の飛行機の開発水準を左右するため、一国の科学研究の実力を示す。
 中国科学院院士、中国科学院力学研究所研究員、空気力学専門家の兪鴻儒氏の爆発駆動方法に基づき、姜氏のチームは2000年より再現風洞理論と革新技術の検証を開始した。16年間の困難に満ちた取り組みを経て、2017年に「極超音速飛行条件を再現する衝撃波風洞実験技術」(略称は「JF12再現風洞」)の一連の実験・研究を完了した。JF12再現風洞は全長が300メートルほどの、世界最大の衝撃波風洞であり、世界初の極超音速飛行条件を再現できる超大型極超音速風洞だ。
 中国空気力学学会はJF12再現風洞について、「復元風洞理論及び技術は極超音速実験を60年間悩ませてきた世界的な難題を解消した。風洞実験の流動の仮定から再現への飛躍を実現させ、世界先進風洞実験技術の発展をけん引した」と指摘した。
 姜氏は、「JF12再現風洞は高度25−50キロ、マッハ5−9の極超音速飛行条件を再現できる。主に吸い込み型極超音速巡回飛行機の研究開発に用いられる。新型風洞は中国独自の一連の新技術を採用する。高度40−90キロ、マッハ10−25を網羅する極超音速風洞実験能力を形成することで、宇宙・地球往復、宇宙船再利用の空気動力実験の問題を解消する。また、JF10とJF12という2つの空洞を結びつけることで、マッハ5−25を網羅する宇宙飛行回廊の実験プラットフォームを形成する。これは世界唯一であり、トップレベルに達している。中国の極超音速の先進的な難題の模索、重要技術の研究開発に対して重大な意義を持つ」と指摘した。

※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます