中国の60歳以上の高齢者数がすでに2億4000万人を上回っている。高齢化が進むにつれて、介護の負担が拡大し、介護ロボットが台頭しつつある。しかしこれらの介護ロボットは、本当に役に立つのだろうか。果たしてどれほどの人がロボットと人生の最後の時を過ごそうと望むだろうか。中国新聞網が伝えた。
◆注目を集める介護ロボット
中国民政部(省)のデータによると、昨年末時点における中国の60歳以上の高齢者数は2億4000万人に達し、総人口に占める比率は17.3%に達した。これは労働人口4人で1人の高齢者を養う計算となる。
需要あるところ、自然と市場がある。若者の介護の負担がますます拡大する現在、高齢者の暮らしをサポートするロボットが登場している。
世界ロボット大会2018が先ごろ北京で開かれ、ロボットメーカー100社以上が各分野のロボット研究開発の最新成果を展示した。なかでも介護とロボットを結びつけた介護ロボットが、人々の注目を集めた。
会場の介護ロボット展示ブースを取材したところ、人型ロボットが動く姿を目にした。
このロボットの主な位置づけは介護サービス。移動サポートから身の回りの世話、行動のサポート、話し相手になり、注意を促すほか、警備と安全確保、入浴、睡眠サポート、健康検査まで7分野30項目にわたる機能を備えている。高齢者のいる家庭と福祉施設などでの使用に適したサービスロボットだ。
台湾大学の羅仁権講座教授は大会のフォーラムで、「介護・看護サービス型ロボットは高齢者介護の問題を解消し、将来的に大きな市場になる。未来の人々は高齢者の介護と聞くと、介護ロボットを思い浮かべるようになる」と話した。
◆介護ロボットは応用能力のさらなる向上が必要
介護ロボットのひな型ともいえるロボットが登場したことで、その高い将来性がうかがえるが、実際の応用シーンを見る限り、その使用にはさらに大きな改善の余地が残されていると言わざるを得ない。
メディアの報道によると、浙江省の杭州市社会福利センターは2016年に、第一陣となるスマート介護ロボット「阿鉄」を導入した。ロボットの任務は、重病患者のモニタリングから高齢者との会話、タイムスケジュールに基づく服薬指導、高齢者の家族とのテレビ電話などとなっている。
同センターの職員は21日、その使用状況について、「今はロボットを余り使用していない。阿鉄の使用範囲は歌をうたうなど一部の娯楽機能に限られる」と述べた。また「阿鉄」の生産メーカーとはすでに提携関係を解除しているとした。
業界内の専門家は、「国内の多くのサービスロボットは自主性に優れておらず、技術力のさらなる強化が必要だ。音声認識技術の精度と計算速度を向上させる必要がある」と指摘した。
◆ロボットによる介護に関する人々の考えは?
現在、本当に役立つ介護ロボットを期待する人々もいる一方で、それを疑問視する人々もいる。
海外留学から帰国した張晨さんは、もう3年も両親と一緒に年越しをしていない。張さんは取材に対し、「子供は仕事で忙しく、高齢者の世話をする時間がない。猫や犬を飼っても何の役にも立たないが、ロボットならば少なくとも高齢者の日常生活をサポートできる」としている。
張さんは某IT企業のプログラマー。彼は現在の技術的環境においてはロボットによるサービス内容が限定的だが、将来的にはさらにスマートに、人に優しいサポートをしていく必要があると考えている。
「高齢者を介護できる」ロボットについて、両親から遠く離れて暮らす一人娘の雯雯さん(仮名)は、「ロボット技術はまだ成熟しておらず、行き届かないところや制限がある。ロボットの目の届く範囲外で、高齢者にアクシデントが生じたらどうするのか」という懸念を語っている。
同じく有名ブロガーの金蛋さんは、ロボットが高齢者と共に人生の最後の時を過ごす動画を投稿し、再生回数が3000万回以上に達している。金蛋さんは、ロボットによる介護は一つのトレンドであり、人に優しい面も確かにあるかもしれないが、「ロボットを肉親の絆の代わりを果たす道具にすることはとても寂しいこと」としている。
あなたならば、ロボットと人生の最後の時を過ごしたいだろうか。または親の面倒を見るのにロボットを選択するだろうか。