第2回チベット高原総合科学観測で初の成果が発表

2018年 9月6日

 昨年始まった第2回チベット高原総合科学観測研究が5日、西蔵(チベット)自治区ラサ市で初の成果を発表した。新華社が伝えた。
 第2回チベット高原総合科学観測首席科学者で中国科学院院士の姚檀棟氏によると、チベット高原とその周辺地域の氷河の面積が過去50年間で15%減少し、高原の永久凍土の面積が16%減少した。チベット高原の1平方キロメートル以上の湖沼の数が1081ヶ所から1236ヶ所に増え、総面積が4万平方キロメートルから4万7400平方キロメートルに拡大した。またヤルツァンポ川とインダス川上流の年間流量が増加傾向を示している。なかでも中央アジアのアムダリヤ川とシルダリヤ川、タリム川の数十本の支流の流量が特に増加している。このように「アジアの給水塔」と呼ばれるチベット高原生態のバランスの乱れに伴う災害が多発している。2016年にはチベットのガリ地区阿汝氷河で氷が崩壊し、死傷者を出す深刻な人的災害と財産の損失が生じており、チベット高原の運命を脅かしている。そのため科学早期警戒体制の構築が必要とされている。
 チベット高原は徐々にその緑を増やしているが、これには懸念も含まれる。姚氏によると、チベット高原成長シーズンの平均植生指数が大幅に上昇しているが、2000年以降は上昇が緩やかになっている。また、チベット高原の炭素貯留効果が大幅に拡大しているが、今後の温暖化により凍土が溶解し、生態系の炭素貯蔵機能を低下させる可能性がある。高山の樹木限界が上昇し、森の生物数が増加しているが、寒冷地の灌木や草原の生存空間を狭めている。さらに高海抜に特有の種が絶滅するリスクが拡大しうる。温暖化は農業生態系にも潜在的なリスクを形成している。
 科学観測により、カイラス山がヒマラヤ山脈よりも先に現在の高度に到達したことが分かった。ヒマラヤ山脈は南アジアの季節風気団の北への移動を妨げ、チベット高原が徐々に乾燥し寒くなっていった。高原の隆起後、チベット地区の生物は「チベット離脱」と「高原ハブ」が共存するモデルを形成したとみられている。


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