2018年09月10日-09月14日
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中国が水中グライダーで、ベーリング海の観測に成功

2018年09月14日

 中国自然資源部(省)が組織する第9回北極科学観測隊が10日、ベーリング海の公海で観測任務を遂行した水中グライダーの回収に成功した。中国は初めて水中グライダーを使い、ベーリング海の海盆と大陸棚で、連続的かつ高密度な観測を行った。新華網が伝えた。

 ベーリング海は太平洋と北極海をつなぐ海上ルートで、その環境の変化は北極海の海水の出入りの性質に直接的な影響を及ぼし、北極の海洋環境に影響を及ぼす。そのためベーリング海は中国の北極科学観測の重点的な調査エリアとなっている。

 観測隊首席科学者補佐、自然資源部第一海洋研究所研究員の陳紅霞氏は、「同グライダーは今回の航行開始後、北に向かう途中で投入された。45日間の観測に成功し、500カイリ航行し、229の海水・塩分断面図を入手した。ベーリング海の海盆と大陸棚で、連続的かつ高密度な観測に成功した。これは中国の極地観測では初で、中国が北極海で無人プラットフォームを使用し、自主的・長期的・業務化観測を行う能力を備えたことが分かる」と説明した。

 説明によると、今回投入された水中グライダーは中国が自主開発したもので、主に海域の水文環境の観測と調査に用いられており、表層から水深1000メートルまでの水温・塩分断面データを収集できる。水中グライダーは設定したルートを観測でき、「V」字を描くように航行する。水深1000メートルまで潜水してから再び海面に浮上し、関連観測データを国内に伝送する。これを繰り返し、約4−5時間で「V」字の断面図を一つ描く。

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