2018年10月22日-10月26日
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国産大型水陸両用機「AG600」が水上初飛行に成功

2018年10月22日

 中国が自主開発した大型水陸両用機のAG600「鯤竜」が20日、湖北省荊門市の◆河空港(◆はさんずいに章)で初の水上飛行に成功した。新華社が伝えた。
 これにより中国の大型機はついに「天に上り、海に入る」という一歩を踏み出し、航空強国としての輪郭を次第にはっきりさせてきている。
 AG600チーフデザイナーの黄領才氏は、「鯤竜は世界で研究中されているなかで最大規模の水陸両用機だ。鯤竜は昨年末に広東省珠海市で陸上初飛行に無事成功したが、初の水上飛行・離着陸の試練を乗り越えなければ、水陸両用機とは言えない」と説明した。
 「報告、AG600が初の水上飛行任務に成功」という初飛行の乗務員からの短く力強い報告により、初飛行の現場は歓喜の声に沸き返った。
 航空工業通飛珠海基地総経理でAG600プロジェクト副総指揮の趙静波氏は、「初の水上飛行は極めて順調で、観測データと理論計算状況がほぼ一致した。これは鯤竜が完全に水上離着陸能力を備え、泳ぐ航空機から飛ぶ船になったことを意味する」と述べた。
 中国航空工業集団有限公司の譚瑞松会長は、「AG600は今回、水上離陸と空中飛行、水上着陸の能力を検証した。水上初飛行という重大な節目となる試験を無事に終え、開発の確かな一歩を再び踏み出した」と述べた。

◆大型機が示す、中国航空産業の新たな動向
 「運20」は国境地帯で極限に挑む試験を行い、C919はテスト飛行を繰り返し、一日も早く飛行許可を得ようとしている。AG600による初の水上飛行の成功により、中国は引き続き国産大型機研究開発の道を着実に歩んでいる。
 航空エンジン専門家で中国工程院院士の劉大響氏はかつて、航空強国と比べると、中国の弱点は航空エンジンだと指摘したことがある。中国の航空機が力強い「中国の心臓」を持つためには、航空エンジンや アビオニクス、高級材料などのコア技術の大きな進展が必要となる。
 AG600に取り付けられた4台のエンジンは、国産の渦槳6エンジンだ。中国の航空エンジンは、「使える」から「使いやすい」に向かい邁進している。
 中国工業・情報化部(省)の苗圩部長は、「ARJ21からスタートし、現在のC919やAG600などの航空機の開発に至ったが、これは中国の民間航空産業が新時代に新たなスタートラインに立ち、新たな進歩を実現したことを象徴している。中国の民間航空産業の発展は、ハイウェイへと歩みを進めている。国全体の製造業の構造調整、モデルチェンジ・アップグレードを力強く促していくことになる」と述べた。

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