2019年02月01日-02月15日
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中国の量子衛星「墨子号」の成果が2018年米クリーブランド賞を受賞

2019年02月11日

 中国科学院によると、アメリカ科学振興協会(AAAS)は中国科学技術大学の潘建偉教授率いる「墨子号」量子科学実験衛星科学研究チームが1000キロ級の衛星・地球間双方向量子もつれ分配の実現で量子通信実験研究を大幅に促進したことを奨励するため、同チームに米国2018年度のクリーブランド賞を授賞したことを明らかにした。中国新聞網が伝えた。
 これはアメリカ科学振興協会の設立から90年以上の歴史の中で、初めて中国科学者が受賞した中国本土で完成した科学研究成果となる。同賞は米国現地時間2月14日にワシントンで行われるアメリカ科学振興協会の年次総会で正式に発表される。
 2017年初め、潘建偉教授率いる研究チームは中国科学院上海技術物理研究所の王建宇研究チーム、中国科学研究院微小衛星創新研究院、光電技術研究院、国家天文台、国家空間科学センターなどの科学研究機関と連携し、量子衛星「墨子号」を利用して世界に先立ち「1000キロ級」の衛星・地球間双方向量子もつれ分配を実現させ、またこれを踏まえた上で、空間スケール下でアインシュタインの「量子非局所性」を備える量子力学非局所性検証を実現し、空間量子物理研究において重大な進歩を得た。関連成果は学術誌「サイエンス」の表紙を飾るかたちで掲載された。その後、量子衛星「墨子号」は世界において衛星・大地面の量子鍵配送と地面から衛星への量子テレポーテーションといった2つの成果を初めて実現させ、トップニュースの形で学術誌「ネイチャー」に掲載された。
 これにより量子衛星「墨子号」は3つの既定科学目標を無事完成させ、グローバル量子通信ネットワークの構築に信頼できる技術サポートを提供し、中国が世界量子通信技術の発展と空間スケール量子物理基本問題検証の先端研究をリードし続ける上で、しっかりとした科学と技術の基礎を築いた。
 クリーブランド賞は1923年に設立され、アメリカ科学振興協会において最も歴史ある賞。同賞は毎年1回に選出され、前年の6月から翌年5月までに「サイエンス」に掲載された研究論文数百本から、最も学術価値と影響力がある論文を1本選出して賞が授与される。過去20年間で授賞された量子物理と光学分野における成果には、ボース=アインシュタイン凝縮の実現(1995年)、半導体におけるスピンホール効果の発見(2005年)、マヨラナ粒子の初発見(2012年)、超解像顕微鏡法の実現(2015年)などがあった。
 アメリカ科学振興協会は1848年に成立し、世界最大の科学と工学の連合団体であり、最大の非営利国際科学技術組織で、学術誌「サイエンス」の主催者と出版者でもある。

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