2022年08月01日-08月05日
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4億3800万年前の長江流域、広大な「揚子海」だった

2022年08月03日

 中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の発表によると、同研究所の研究者はこのほど「地層学雑誌」に巻頭記事を掲載し、同研究所の早期脊椎動物チームの全国のシルル紀浅海赤色層における20年にわたるフィールドワークの重要成果を発表した。江蘇省南京市、浙江省長興市、安徽省巣湖市、江西省九江市、湖北省武漢市、湖南省張家界市、重慶市秀山土家(トゥチャ)族苗(ミャオ)族自治県、新疆維吾爾(ウイグル)自治区塔里木(タリム)などのシルル紀前期海洋赤色層の中から、大量の早期魚類化石材料を発見し、こうした地域の重要な古代魚類化石の証拠を提供している。北京日報が伝えた。

 研究によると、今から4億3800万年前のシルル紀前期に、中国の長江流域を中心とする華南プレートは「揚子海」と呼ばれる広大な海だった。同海域はさらに上・下の揚子海に分かれ、両者は1本の細長い水路によって結ばれていた。一方で、今日の4000キロメートル離れたタリム盆地も現在の位置になく、中国の華南プレートとつながっていた。そのため両地域の古代魚類の姿が非常に似通っていた。

 ガレアスピス類は中国のシルル紀の浅海赤色層によく見られるもので、その硬い膜状の殻により化石として保存されやすい。中国のシルル紀のガレアスピス類の化石は種類が多く、数が豊富だ。

 既存の化石の記録を見ると、中国のシルル紀のガレアスピス類の化石は全体的に、華夏古陸と滇黔古陸の縁に沿うようにして分布している。これは今から4億3800万年前のシルル紀前期に、中国の長江流域を中心とする広い地域がかつて、広大な揚子海だったことをさらに裏付けている。

 また、ガレアスピス類の頭部は平らで、対鰭がない。これは泳ぐ能力が低く、移動する能力が限定的であることを意味する。新疆柯坪―巴楚地区のシルル紀前期の浅海赤色層にも多くのガレアスピス類が含まれ、同時期の華南地域、特に浙江省長興市と安徽省巢湖市の魚群の姿と大きく一致することは、4000キロメートル離れた2つのプレートが当時、同じ海域にあった可能性を物語っている。

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