2023年05月15日-05月19日
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火星探査車「祝融号」に新発見 中国の科学者が火星北部の海洋の存在を証明

2023年05月19日

 中国地質大学(武漢)地球科学学院の肖竜教授率いる国際研究チームはこのほど、火星探査車「祝融号」に搭載されたマルチスペクトルカメラが取得した科学データを総合的に分析し、火星表面に海洋堆積岩の岩石学的証拠があることを初めて発見した。これにより、火星北部にかつて海があったことが証明された。中央テレビニュースが伝えた。

 2021年、中国の「天問1号」火星探査任務で搭載された祝融号は、火星北部平原東部にあるユートピア平原南部周辺に着陸した。祝融号は着陸後、南の海岸線と思われるエリアに向かい、その途中で露出した北方荒原組地層の観測を行った。祝融号の走行距離は約1921メートルで、異なるイメージング・分析システムを使用し、露頭や地表の岩石に対して詳細な原位置探査を行った。うちナビゲーションカメラと地形カメラが106点のパノラマ画像を撮影。祝融号の走行ルート付近の多くの岩石の表面的形態と構造的特徴を詳細に記録した。

 肖氏は「火星探査車のカメラから伝送された画像を確認したところ、むき出しになっている岩石の発育した層構造が火星表面でよく見られる火山岩と大きく異なり、また風沙の堆積により形成された層構造とも異なることを発見した。これらの層の知識が示した双方向の水流の特徴は、地球の浜辺や浅瀬の環境における低エネルギーの潮汐流と一致している」と説明した。

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