2024年07月22日-07月26日
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中国産ドリアンの炭素排出量をどうやって測定するのか?

2024年07月26日

 中国海南省三亜市でこのほど開かれた「中国・ASEANドリアン産業シンポジウム」で、海南省のドリアン栽培企業2社に中国ドリアンカーボンフットプリント表示認証証明書が発行された。新華社が伝えた。

 これにより、消費者はこのラベルを見れば、そのドリアンが棚に並べられるまでにどれほど多くの温室効果ガスを排出したかが分かるようになる。

 カーボンフットプリントはここ数年、環境保護分野の「ホットワード」になっている。ドリアンのカーボンフットプリントは、ドリアンの全成長プロセスにおける温室効果ガス排出量を測定するための指標で、通常は二酸化炭素(CO2)換算で表示される。これはつまり、私たちがよく知る「炭素排出量」のことだ。ドリアンの成長期間では、耕作や灌漑、肥料および農薬の使用、包装、輸送などの各段階で炭素が排出される。また土壌の有機質の向上やドリアンの木の光合成により、カーボンシンクが増えて一部の炭素排出を相殺することもある。

 それでは、500グラムの中国産ドリアンはどれほど多くの炭素を排出するのだろうか。

 南京農業大学資源・環境科学院は、果樹園炭素固定・温室効果ガス排出モデルと「ライフサイクル評価・果物カーボンフットプリント」法を独自に開発した。中国産ドリアンの主産地である海南省の農場でサンプルを採取し、農地の管理状況を調査した結果、最終的に国産ドリアンのカーボンフットプリントを測定し、中国の専門認証企業から認証を得た。

 カーボンフットプリントの計算結果によると、500グラムのドリアン生産で約1キロ(CO2換算)の温室効果ガスが排出される。

 同院の程琨副教授は「他の果物と比べると、ドリアンのカーボンフットプリントは相対的に高い。大規模栽培に取り組んでいる中国産ドリアンはここ2年でようやく実をつけ始めたばかりで、果樹が若くて生産量が少ないため、果実1個当たりの炭素排出量を引き上げる形になっている」と説明した。

 三亜市などのドリアン栽培地域は現在、南京農業大学のバイオ炭土壌改良技術を採用し始めており、グリーン・低炭素栽培モデル拠点を建設している。栽培企業はバイオ炭を土壌に用いて有機質の量を増やし、構造を改良することで水分と肥料の保持力を高めており、土壌の質と作物の収量を上げるだけでなく、土壌のカーボンシンクも大幅に高めることができる。こうしたバイオ炭技術の応用により、将来的に炭素排出量を30%以上削減できるという。

 カーボンフットプリント表示認証証明書を取得した海南省鴻翔農業集団優旗投資有限公司の責任者は「農産物のカーボンフットプリント認証により、消費者が自身の購入・選択行為が気候変動に与える実際的な影響を直観的に知ることができ、消費行動のグリーントランスフォーメーションを促進する。また、農家に対してもグリーン・低炭素技術を採用するよう奨励できる」と述べた。

 ドリアンの炭素排出量をいかにして削減するかについて程氏は「あと数年すれば、海南省のドリアンの1ムー(約6.7アール)当たりの収量は年間当たり倍増のペースで増えていくだろう。これにグリーン・低炭素技術のイノベーションや普及を合わせると、カーボンフットプリントは大幅に低下するはずだ。また、カーボンフットプリントラベル認証によって、企業が耕作地の質的向上や廃棄物の資源化利用などの新技術を持続的に試みるようになり、ドリアンの炭素排出削減が実現するだろう」と見通しを語った。

 
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