建物や工場の建物は鉄骨構造が一般的だが、中国湖南省益陽市にある国家(桃江)楠竹産業モデルパークでは「竹構造」の研究展示棟が注目を集めている。この建物は長さ12メートルに達する21本の竹柱が地面から屋根まで伸びており、建築面積約1500平方メートルの3階建ての建物を支えている。中国青年報が伝えた。
この「竹の建物」を建設した湖南桃花江竹材科技の薛志成董事長は「一般的な建築物では竹材が装飾用に使われるが、この建物は竹そのもので建てられている。骨組みはすべて竹材であり、内部に鉄筋コンクリートは一切使用していない。これは現在、中国で最大級の無垢竹材構造による現代建築だ」と説明した。
「竹の建物」の強度はどれくらいなのか。梁や柱の竹を叩くと、重厚感があり、従来の竹材が持つ軽くてしなやかな特性とは大きく異なる。薛氏は「これは『大型竹集成材』と呼ばれるものだ。天然の竹片を自社開発の設備で熱圧接着することで、優れた力学性能を持つようになる。一般的なコンクリート建築では、圧縮強度は30メガパスカル(MPa)程度しか求められないが、竹集成材の圧縮強度は最大で70MPa以上に達する。強度は同じ重量の鉄を上回り、さまざまな環境建築構造に応用できる」と紹介した。
竹を鉄筋の代わりにするには、防腐、防カビ、防火、防虫などの課題を解決する必要もある。湖南省科技庁から認定を受けた湖南省現代竹構造工学材料製造・応用工学技術研究センターでは、中南林業科技大学材料科学・工程学院の李新功院長率いるチームが竹材の耐火試験を進めていた。燃え盛る炎で燃焼させても、竹材は引火することなく、濃煙も発生しなかった。
李氏によると、竹材は木材と比べて栄養分を多く含むため、カビや腐敗の影響を受けやすいという。これに対処するため、チームは竹材の特性に適合した、安全かつ環境に優しい防腐・防カビ材料を開発した。
竹を鉄筋に変えるには、大学と企業の共同研究が欠かせない。中南林業科技大学と湖南桃花江竹材公司は長年にわたり密接な産学連携を行っており、「大型竹集成材製造重要技術の研究と実証」や「組み立て式建築用竹壁板の重要共通技術研究と産業化」などの重点研究開発プロジェクトを共同で実施。湖南省科学技術進歩1等賞や技術発明2等賞、梁希林業科学技術進歩2等賞などを受賞している。
湖南省は竹資源と竹産業の年間生産額が中国国内トップクラスであり、桃江県は湖南省で竹林面積が最大の県で、国家楠竹産業モデルパークや馬迹塘鎮笋竹特色産業パークが建設されている。馬迹塘鎮笋竹特色産業パークでは、あるタケノコ加工企業が急速冷凍技術を活用し、消費者が一年を通じて新鮮なタケノコを食べられるようにしている。また、別の竹繊維加工企業では、竹やタケノコの端材を飼料添加物として加工し、家畜に提供している。
国家林業・草原局など10部門が「竹産業の革新発展の推進を加速させる意見」を発表し、湖南省でも複数の省レベルの奨励政策と指導政策が打ち出されている。薛氏は「今後も竹の新たな価値を多角的に掘り下げ、産業チェーンを拡大し、付加価値を高め、竹産業のトランスフォーメーションと高度化を推進していく」と語った。
(画像提供:人民網)