中国科学院昆明動物研究所が2023年に立ち上げたアカゲザル生物資源バンク(Macaca Biobank)は、一連の成果を上げつつあり、「実験用サル不足」の問題解決に向けて進展を見せている。また、アカゲザル資源を体系的に活用することで、新薬開発に代替不可能なプラットフォームを提供できるという。中国新聞網が伝えた。
中国には豊富なアカゲザル資源が存在するが、高い実験基準を満たす個体の供給は依然として逼迫している。また、正確な遺伝的背景や表現型データが欠如しているため、実験結果の再現性が低いことが研究者を悩ませる共通の課題となっている。
アカゲザル生物資源の有効活用には、遺伝情報の詳細な解析と表現型の正確な記録が欠かせない。同研究所は23年、「モデル動物の表現型・遺伝研究の国家重要科学技術インフラ」を基盤として、アカゲザル生物資源バンク計画を立ち上げた。個々のアカゲザルに完全な「生涯記録」を構築することを目的としており、この記録には全ゲノム塩基配列、医療画像、生理生化指標、行動学データなどの情報が含まれ、動的な生物ビッグデータセンターを形成する。
同計画はこのほど、919匹の中国産アカゲザルのゲノムデータおよび52種類の表現型データに対する体系的な分析を完了し、複数の成果を上げている。