2025年11月03日-11月07日
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中国の科学調査隊、北極有人深海潜水任務を完了

2025年11月04日

 中国自然資源部(省)と中国科学院が共同で組織し、中国科学院深海科学・工程研究所が主導する北極有人深海潜水任務の科学調査隊が10月27日に帰還した。今回の任務は、中国が設計・建造した有人深海潜水作業支援母船「探索3号」と、有人潜水艇「奮闘者号」を用いて行われた。人民網が伝えた。

「奮闘者号」は北極海で43回の潜水作業を行い、有人潜水艇「蛟竜号」との共同作業を実施した。

 調査隊は7月22日に海南省三亜市を出航し、「蛟竜号」チームとともに北極海へ向かった。今回の航海は、自然資源部が主導し、中国21世紀議程管理センターが管理する「第14次五カ年計画」(2021-25年)国家重点研究開発計画「深海・極地の重要技術と装備」プロジェクトの一部として実施された。98日間の航海で、総航行距離は1万5000カイリを超えた。調査隊は北極海で56日間作業し、氷域を1989カイリ航行した。「奮闘者号」と「蛟竜号」は、水中での位置特定や捜索、マーカーの交換、水中撮影などを共同で実施した。

 海氷被覆率80%を超える中央海盆では、ガッケル海嶺域での有人深海科学潜水が行われた。「奮闘者号」は29日間で32回の潜水を実施し、最大潜水深度は5277メートルに達した。

 調査隊は「探索3号」と「奮闘者号」が持つ運用能力を生かし、海水、堆積物、岩石、生物などのサンプルを採取し、多くの観測データを収集した。これらのデータは、北極の気候変動やガッケル海嶺域の地質、極域生物の進化や適応メカニズムの解明に向けた資料となる。

 今回の航海は中国の第15次北極海科学調査の一環として実施され、16の研究機関、大学、企業から約80人が参加した。

(画像提供:人民網)

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