中国の月探査機「嫦娥6号」が月の裏側で採取した月の土壌サンプルは、「嫦娥5号」が月の表側で採取した土壌と比べると、やや「粘性」がある。中国科学院地質・地球物理研究所の研究チームは、粒子力学の観点からこの「粘性」の科学的メカニズムを解析し、その謎を解き明かすことに成功した。科技日報が伝えた。
研究成果は11月24日付の科学誌「Nature Astronomy」のオンライン版に掲載された。
2024年6月27日に開かれた国務院新聞弁公室の「嫦娥6号」ミッション記者会見で、同ミッションのチーフデザイナーである胡浩氏は、月の裏側で行ったサンプル採取の際、嫦娥6号の着陸地点の月土壌が「やや粘り気があり、少し固まっている」ことを確認し、月の表側から採取された土壌とは異なる物理的特性を示したと明らかにした。
論文の筆頭著者兼共同責任著者である、中国科学院地質・地球物理研究所の祁生文研究員は、「この現象はすぐにチームの注目を集めた。固定漏斗実験と回転ドラム実験により、嫦娥6号による月の土壌の安息角を測定した。これは粒子材料の流動性を評価する指標だ。実験では、土壌の安息角が月の表側のサンプルよりも明らかに大きく、その流動性は地球の粘土により近いことが分かった。これにより、月の裏側の土壌が『より粘性が高い』という直感的な観察が科学的に裏付けられた」と語った。
祁氏はさらに、「鍵となるのは、土壌の粒子そのものの性質だ。私たちは安息角が大きいのは、三つの微小な『粒子間作用力』の協同効果によるものだと確認した。それは摩擦力、ファンデルワールス力、静電力だ。ファンデルワールス力とは、物質の分子が極めて接近した際に相互に引き合う、微弱ながら遍在する引力だ。土壌粒子が十分細かくなると、ファンデルワールス力と静電力が強く働き、もともと粘性を持たない鉱物粒子でも粘りを示すようになる」と説明した。
研究チームは月の裏側の土壌サンプルに対して高精度CTスキャンを実施し、表側の土壌と比較したところ、独特な現象を発見した。月の裏側の土壌は、比較したサンプルの中で最も粒径が小さいにもかかわらず、形状がより不規則で角張っていた。
祁氏は、「この現象はかなり異常だ。一般的に粒子が細かくなるほど球形に近づくものだが、月の裏側の土壌は細かくて粗い。この特性が摩擦力・ファンデルワールス力・静電力を高め、より大きな安息角と高い粘性を生み出している」と指摘。「今回の研究成果は、今後の月探査ミッションにとって重要な科学的根拠を提供している。土壌の流動性は着陸機の安定性や月面活動に影響するため、今後の月面基地建設や月面資源の開発利用における重要な参考になる」と述べた。

(画像提供:人民網)