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2.1 ナノテクノロジー・材料分野の概要

(4) 研究成果

1)材料科学分野

 材料科学分野において、中国の科学技術論文が、国外の主要書誌情報データベースに収録された件数を見ると、中国において重要な評価指標になっているSCI(Science Citation Index)の件数が圧倒的に多くなっている。

 また、EI(Engineering Index)の収録件数の伸びが顕著で、2005年実績(3433件)は2000年(589件)と比べるとほぼ6倍、直前の2004年実績(1697件)と比べても2倍以上の高い伸びを示している。ISTP(Index to Scientific & Technical Proceedings)も年によってバラツキはあるものの、2005年(1975件)は2000年以降で見ても最高となっている。

表2.7 材料科学分野の書誌収録件数の推移(2000~2005年)

年度

書誌収録

順位

SCI

EI

ISTP

合計

2000

2,363

589

690

3,642

4

2001

2,713

649

495

3,857

4

2002

3,760

844

883

5,487

3

2003

5,261

1,021

1,328

7,610

3

2004

4,718

1,697

442

6,857

4

2005

6,657

3,433

1,975

12,065

5

SCI:Science Citation Index
EI:Engineering Index
ISTP:Index to Scientific & Technical Proceedings
出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

 2005年の材料科学分野の論文収録数は、SCI:6657件、EI:3433件、ISTP:1975件、合計では1万2065件となっており、収録総数で比較すると化学分野(2万7977件)、物理学分野(1万6616件)、コンピュータ工学分野(1万3433件)、電子・通信・自動制御分野(1万2668件)に次いで5位に入っている。

2)ナノテクノロジー分野

 ナノテクノロジー分野に限定した研究成果の詳細な統計データはないが、「第10次5ヵ年」期間中の「863計画」および「難関攻略計画」におけるナノテクノロジー分野の研究成果を表2.8に示す。

表2.8 「863計画」と「難関攻略計画」におけるナノテクノロジー分野の成果(2001~2005年)

項目

863計画

難関攻略計画

国内の発表論文数

930

287

海外での発表論文数

960

136

特許取得件数

150

172

うち発明特許取得件数

131

160

国家自然科学賞受賞数

3

3

民間および海外受賞数

8

8

成果移転プロジェクト数

23

31

成果移転収入(万元)

1,354

5,060

生産高増加分(万元)

240,334

77,964

納税(万元)

15,367

-

出典:「納米科技発展宏観戦略」(任紅軒ら編著、化学工業出版社、2008年5月)をもとに作成

  また、中国のナノテクノロジー研究開発の大まかな進展状況を把握するため、中国国家知的財産権局特許データベースを利用し、ナノテクノロジー関連の特許出願公開件数について調べた。それによると、1985~2002年12月までの中国におけるナノテクノロジー関連の発明特許と実用新案の出願公開件数はそれぞれ2,250件、134件であったが、1985~2007年4月までの発明特許と実用新案の出願公開件数はそれぞれ7,959件、671件に達した。

 ナノテクノロジー関係の発明特許と実用新案がわずか4年の間に急増したのは、「第10次5カ年」期間中に中国政府が政策、資金の面からナノテクノロジー分野の発展に力を注いだことが大きく影響している。中国における機関別に見たナノテクノロジー関連特許の出願公開件数の推移および各機関の割合をそれぞれ表2.9、図2.1~2.2に示す。

表2.9 中国における機関別に見たナノテクノロジー関連特許の出願公開件数の推移

分類

特許出願公開件数

1985~2002年

1985~2007年4月

発明

実用新案

発明

実用新案

研究機関

294

15

1,130

60

高等教育機関

487

24

4,388

148

企業

258

25

1,490

145

個人

1,211

70

1,323

328

合計

2,250

134

8,331

681

注:複数機関共同出願の場合、それぞれ1件として含まれている。
出典:「納米科技発展宏観戦略」(任紅軒ら編著、化学工業出版社、2008年5月)をもとに作成

図2.1 ナノテクノロジー関連発明特許の出願公開件数(機関別、1985~2002年12月)

図2.1 ナノテクノロジー関連発明特許の出願公開件数(機関別、1985~2002年12月)

図2.2 ナノテクノロジー関連発明特許の出願公開件数(機関別、1985~2007年4月)

図2.2 ナノテクノロジー関連発明特許の出願公開件数(機関別、1985~2007年4月)

 これまでの実績を見ると、2002年までは個人出願公開件数の割合が最も高く、全体の53.8%を占めた。これは、2001年にある1人の個人が940件の漢方薬関連特許を出願したためである。実際、これを除くと2007年までの発明特許の個人出願件数はあまり増えていない。高等教育機関の出願公開件数は、2003年から2007年4月にかけて大幅に増加し、全体の52.7%を占めた。

 中国における分野別に見たナノテク関連特許の出願公開件数の推移を表2.10に示す。この表からも明らかなように、2003年以降、ナノ粒子材料やナノチューブ、ナノエレクトロニクス、ナノ医薬といった分野で発明特許の出願件数が大幅に増加している。

表2.10 中国における分野別ナノテク関連特許の出願公開件数の推移

分類

特許出願公開件数

1985~2002年

1985~2007年4月

発明

実用新案

発明

実用新案

ナノ粒子材料

201

6

1,723

117

ナノチューブ

98

7

1,219

60

カーボンナノチューブ

83

7

1,029

55

ナノ重合高分子

89

0

215

2

ナノエレクトロニクス

59

2

902

86

ナノ半導体

32

2

497

44

ナノ医薬

963

1

1,439

35

その他

725

109

935

272

出典:「納米科技発展宏観戦略」(任紅軒ら編著、化学工業出版社、2008年5月)をもとに作成

① ナノ構造材料・新機能材料

 中国はナノ粒子材料、ナノカーボン材料、ナノ重合高分子材料などの分野での基礎研究を積極的に行っているため、こうした分野での特許出願件数が多く、全体の約半分を占めている。このうちナノカーボン材料については、製造方法に関する出願公開件数が全体の約半分を占めており、一部の成果は世界先進レベルに達しているが、日欧米に比べ、プラズマ、レーザなどハイテク方法を用いた製造方法に関する研究が比較的遅れている。

 また、エレクトロニクス分野や医薬分野への応用研究が少ない。ナノ粒子材料については、特許の多くが製造方法に関するもので、日欧米に比べ応用研究が弱いと見られている。ナノ重合高分子材料についても、材料の開発と製造に関する特許が多いものの、応用面では、主としてナノ塗料、ナノゴムなどに限られている。しかし、こうした分野に関して、中国は基礎研究だけではなく、応用や産業化に向けての努力を強化している。

② ナノ加工技術分野

 中国では、この分野に関する基礎研究は中国科学院や一部の大学などを中心に行われており、特許出願件数も少ない。一方で、マイクロ加工技術のプラットフォーム建設に努力が傾注されており、数多くの研究開発が行われている。

③ ナノエレクトロニクス分野

 中国では、この分野での応用はまだ比較的少ないものの、特許出願公開件数は大幅に増加している。近年、欧米の留学組が帰国して研究の中核となり多くの研究が行われていることから、近い将来、急速に実力が向上すると考えられている。

④ バイオ・医薬分野

 中国はバイオ分野の応用研究が少なく、特許出願公開件数も少ない。一方、医薬分野での特許出願公開件数は1985年以降2002年までで963件、また2007年4月までで1439件に達しており件数的には多い。しかし、その多くは漢方薬に関するものであり、日欧米に比べ、体内輸送システム、医療用粒子材料、医療用チップ、再生医療用材料などの分野での応用研究成果が少なく、研究レベルも劣っている。

 一方で、こうした分野においても近年、欧米の留学組が帰国し、中心的存在として多くの研究開発を行っている。また、日欧米に比べ臨床試験などに関する許認可の法的制約が比較的少ないため、今後の進展が注目されている。


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