トップ >科学技術中国の科学技術分野別状況2.ナノテクノロジー材料分野> 2.1 ナノテクノロジー・材料分野の概要

2.1 ナノテクノロジー・材料分野の概要

(5) 国際研究活動の展開

 中国は、1980年代から科学研究および技術開発の国際協力に力を入れてきた。ナノテクノロジー・材料分野においても、各種レベルで二国間および多国間での国際協力を行っている。二国間での協力活動の内容を表2.11に示す。

 なお、科学技術部が2006年11月29日に公布した「『第11次5ヵ年』国際科学技術協力実施綱要」(「“十一五”国際科技合作実施綱要」)では、ナノテクノロジー分野は第11次「5ヵ年計画」期間中の戦略的重点分野と位置付けられており、主に①ナノ加工とナノデバイス②ナノ材料とナノ構造③ナノ医学とナノバイオ④ナノ構造の表象方法と計測⑤ナノデバイスの集積に関する中核技術⑥ナノ理論とモデル――などの課題について重点的に国際協力を行うとの方針を明らかにしている。

表2.11 ナノテクノロジー・材料分野における二国間協力活動の概要

 

概要

中国-日本

日中両国は1980年5月、「日中科学技術協力協定」を締結した。同協定の下で、日中科学技術協力委員会を設立し、農業、原子力、環境保護などの分野にわたって140以上の科学技術協力プロジェクトが実施された。2003年2月の第10回委員会では、新材料(ナノ材料を含む)をはじめ、バイオ技術・生命科学、情報通信技術、環境・エネルギーおよび社会基盤技術などを今後の重点協力分野とすることが確認された。その後、新材料(ナノ材料を含む)に関する共同研究・開発が行われた。2005年11月には、中国国家ナノ科学技術センターと三菱商事イノベーションセンターが協力し、ナノハイブリッド材料の共同開発を行った(「国家納米科学中心工作簡報」2006年第2号)。2007年12月、日中間のナノ技術の課発と応用に関する産官学協力を促進するため、中国科学技術部の許可を得て上海の国家ナノ技術・応用研究センターに日中ナノ技術産業化協力基地が設立された。

中国-米国

中国と米国は1979年1月、「中米科学技術協力協定」を締結した。同協定の下で、両国政府は材料科学を含む多くの科学分野で約50の協力協議書を締結し、北京電子・陽電子衝突型加速器などの大型プロジェクトを完成させた。2005年6月、浙江省政府および浙江大学は米国のカリフォルニア・ナノシステム研究所と共同で杭州に浙江国際ナノテク研究所を設立し、システムバイオ学、ナノ材料製造および有機EL技術などを中心に共同研究を行うことを発表した。2006年10月の第12回中米科学技術協力委員会では、両国のナノテクノロジー分野における協力強化が合意された。浙江国際ナノテク研究院は2008年11月24日、浙江国際ナノテク共同研究開発センターに改組され、国家レベルのナノ技術開発センターとして、ナノバイオ・医薬、ナノ材料およびナノエレクトロニクスなどの重点分野で、米国をはじめ、英国、ドイツ、フランス、ロシアなどの研究機関、大学との共同研究・開発を展開することになっている。

中国-英国

中国と英国は1978年11月、「中英科学技術協力協定」を締結した。その後、1998年9月には「中英科学技術協力協議書修正案」に署名し、科学技術分野での協力強化を図った。両国政府は2004年5月、「中英共同声明」を公表し、科学技術協力を重点協力分野とすることを決定した。共同声明を受け、中国政府は2005年を「中英科学技術年」とし、シンクロトロン加速器など13の分野を重点分野とし、130以上のプロジェクトを実施した。また、その一環として両国は2005年1月、「中英科学技術協力計画」を策定し、ナノ材料を含む6つの優先協力分野で積極的に共同研究活動を行うとした。具体的には、マイクロ構造分析技術の専門家である英国オックスフォード大学のGeorge Smith教授が主席を務める中英材料協会を設立し、ナノ材料、エネルギー材料、バイオ材料を中心とする共同研究が行われた。また、2005~2006年にかけて、重慶市とロンドンでそれぞれ第1回および第2回中英先進材料シンポジウムが開催された。2008年4月には協力範囲をEU全域に拡大し、重慶市で第3回中国-EU先進材料シンポジウムを開催した。その後、中英エネルギー材料協力推進委員会、中英バイオ材料協力促進委員会、中国-EU軽合金材料協力推進委員会が設置され、それぞれの活動プランが策定された。

中国-ドイツ

中国とドイツは1978年11月、「中独科学技術協力協定」を締結した。同協定の枠組みの下で、両国政府は新材料を含む多くの科学分野で共同研究を行った。中国国家自然科学基金委員会とドイツ研究連合会は2000年10月、北京市に共同で「中独研究促進センター」を設立し、両国が毎年それぞれ1,000万元を投入し、ナノ科学や情報技術、材料学、食品栄養学、旱魃防止など6分野において両国の共同研究を支援してきた。また、中国科学技術部とドイツ科学技術省は2005年4月、湖南省長沙市に中独ナノバイオ技術協会を共同で設立し、「中独ナノバイオ技術国際シンポジウム2005」を開催した。ドイツのBASF社は2006年、中国の35の大学および研究機関と契約を結び、高分子材料、工業用触媒、ナノバイオ技術に関する51の共同研究プロジェクトを選定、実施した。

中国-フランス

中国とフランスは1978年1月、「中仏科学技術協力協定」を締結した。同協定の枠組みの下で、両国は1991年、「中仏先進研究計画(PRA)協力協議書」を締結し、材料、バイオ技術などを含む6分野での協力に合意した。これまでに専門家委員会を10回以上開催し、382件のプロジェクトを実施した。2006年には、科学技術部の支持の下で、アモイ大学とフランス国家科学研究センター、パリ高等師範学院がアモイに「ナノバイオ・化学国際共同実験室」を設立し、基礎化学や分析化学、物理化学、電気化学などの分野で7つの共同研究プロジェクトを実施した。同実験室は2008年、国家レベル国際科学技術研究開発センターに指定された。

中国-ロシア

中国とロシアは1992年12月、「中露科学技術協力協定」を締結し、新材料、バイオ技術などを含む9つの優先分野における協力強化に合意した。その後、1996年までに245件の科学技術協力プロジェクトが実施された。1998年12月には、中国科学技術部の許可を受け、新材料、バイオ技術などの分野での研究成果の産業化を図るため、山東省煙台市で「中露ハイテク産業化協力モデル基地」の建設がスタートした。また、2005年11月、湖南省にある中南大学とロシア非鉄金属加工研究院およびロシア連邦宇宙開発局複合材料研究院は共同で「中露国際新材料工程技術産業化センター」を設立した。ロシアのプーチン大統領(当時)が2007年4月、「ロシアにおけるナノ産業発展戦略」を打ち出したことを受け、2008年7月にロシアのナノテク会社関係者が訪中して中国科学技術部と協議を行い、二国間におけるナノテクノロジー分野に関する協力協定を両国首相会談の場で締結することで合意した。

中国-韓国

中国と韓国は1992年9月、「中韓科学技術協力協定」を締結した。同協定の枠組みの下で、新材料を含む14の分野で18の協力協定や覚書を締結した。2003年7月の両国首脳会談では、一層の協力の推進に関する声明が発表され、新材料やバイオなどの分野で共同研究と産業化を行うことが合意された。両国は2005年7月、「中韓ナノ技術研究センターの共同建設に関する覚書」に署名し、2007年7月までに中国国家ナノ科学技術センターと韓国科学技術院にそれぞれナノ技術研究センターが設立された。その他、新材料共同研究センター、光電子技術共同研究センターなども設立された。

戻る 1 2 3 4 5次へ

さくらサイエンスプランウェブサイト

さくらサイエンスプランウェブサイト

 

中国関連ニュース 関連リンク

オリジナルコンテンツ

柯隆が読み解く

2014/2/18更新
「中国の歴史問題」

富坂聰が斬る!

2013/12/27更新
「中国賃金事情」

和中清の日中論壇

2014/2/3更新
「失望」に潜む米国のメッセージと日本の「積み木崩し」

田中修の中国経済分析

2014/2/7 新コーナー開設
「中央経済工作会議のポイント」

服部健治の追跡!中国動向

2014/2/27 新コーナー開設 「安倍総理の靖国神社参拝に想う(上)」

川島真の歴史と現在

気鋭の研究者が日中関係を歴史から説き起こす。幅広い視点から新しい時代の関係を探る。

科学技術トピック

New

2014/3/5更新
「赤外線カメラと簡牘資料の日中共同研究」
工藤 元男

取材リポート

New

日中関連、科学技術関連のシンポジウム・講演等を取材し、新鮮なリポートをお伝えします。

中国の法律事情

New

2014/3/7更新
「百度(バイドウ)の著作権侵害をめぐる攻防の結末」朱根全

日中交流の過去・現在・未来

日中交流のこれまでの歩みとこれから

日中の教育最前線

日中の教育現場の今をレポート

中国国家重点大学一覧

 

中国関連書籍紹介

New

2014/3/12 書評追加掲載

文化の交差点

New

2014/3/18更新
「日本における中国古代絵画」朱新林

中国実感

日本人が実感した中国をレポート

印象日本

中国が日本に滞在して感じたことをレポート

CRCC研究会

過去の講演資料、講演レポート

CRCC中国研究サロン

過去の講演資料、講演レポート

アクセス数:31043468