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3.2 電子情報通信分野の現状および動向

(7) ロボティクス

 中国のロボティクス技術開発は、まだ発展途上にあるが、欧米や日本から帰国した研究者が質の高い研究を行っており、将来、急速にキャッチアップしてくると見られている。

 中国自動化学会ロボット競技委員会主任を務める清華大学の孫増圻教授は、中国のロボット研究はすでに先進国と遜色ないレベルまで上がってきているとする一方で、応用面ではまだだいぶ遅れているとの見方を示している。

 中国のロボット研究は、2000年11月29日に国防科学技術大学が発表した人間型ロボット「先行者」によって大きな関心を集めた。1990年に開発した二足歩行ロボットと比べて、段差のある場所を自由自在に歩行できるほか、歩行速度もそれまで6秒間に1歩だったものが1秒間に2歩までスピードアップした。

 北京理工大学では2002年12月28日、人間型ロボットが「国家ハイテク研究開発発展計画」(「863計画」)の検査に合格した。このロボットは、高さ158cm、重量76kgで、33cmの歩幅で1時間に1kmの走行が可能であった。

 その後、改良が進められ、中国科学院が2008年10月に明らかにしたところによると、中国企業が独自に開発した人間型ロボットが瀋陽市行政審査サービスセンターの窓口案内係りに登用された。

 このロボットは身長160cm、体重50kgで、手足は自由に動き、自由自在に歩くことも可能という。また、自力で障害物を避けることができる。無線による遠隔操作が可能で、中国語での音声案内のほか、胸元のスクリーンのタッチパネルで訪問者に情報の提供ができる。

 2008年1月7日付「科学時報」は、瀋陽新松ロボット(机器人)股份有限公司の研究所が自主的知識財産権を持つ「研磨ロボットシステム」の研究開発に成功したと伝えている。このシステムは、鋳型や翼板など、多数の部品の加工・修復作業に利用可能という。

 中国は、極限環境下で用いられるロボット開発にとくに力を入れている。「863計画」の海洋技術重要課題の1つとして、中国科学院瀋陽自動化研究所等が共同開発した水中ロボット「北極ARV」が2008年9月中旬、北緯84度の海氷下で調査を行った。

 中国科学院によると、中国が高緯度海域で水中ロボットを用いて実施した初めての調査で、各種計器を装着して海底の状態や氷の厚さ、水深別の海水温度や塩分濃度の測定が行われた。

 また国家海洋局の孫志耀・局長は2009年3月9日、中国が自主研究・開発した水深7000mの水圧に耐えられる世界初の水中ロボットが2009年内に海中実験を開始する計画であることを明らかにした。同局長によると、この水中ロボットは定員3人で、組立作業はすでに完了している。

 中国は、宇宙開発におけるロボット利用も積極的に進めようとしている。中国工程院の蔡鶴皐・院士は2008年10月、中国が2011年の打ち上げを予定している衛星に搭載するロボットアームを公表した。

 母衛星に取り付けられたロボットアームは、小型衛星を掴んで宇宙空間に放出したあと追跡し、再び回収するという。ロボットアームの開発は現在、ハルビン工業大学で進められている。

主要参考文献:

  1. 「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)
  2. 「国家中長期科学和技術発展規劃綱要(2006-2020年)」(国務院、2006年2月)
  3. 「国家“十一五”科学技術発展規劃」(科学技術部、2006年10月)
  4. 「高技術産業発展“十一五”規劃」(国家発展改革委員会、2007年4月)
  5. 「集成電路産業“十一五”専項規劃」(工業・情報化部、2008年1月)
  6. 「軟件産業“十一五”専項規劃」(同上)
  7. 「電子基礎材料和関鍵元器件“十一五”専項規劃」(同上)
  8. 「電子専用設備和儀器“十一五”専項規劃」(同上)
  9. 「信息技術改造提升伝統産業“十一五”専項規劃」(同上)
  10. 「中国互聯網絡発展状況統計報告」(中国互聯網絡信息中心、2009年1月)

主要関連ウェブサイト:

  1. 中国科学院(http://www.cas.cn)
  2. 工業・情報化部(http://www.miit.gov.cn)
  3. 中央人民政府(http://www.gov.cn)
  4. 曙光(http://www.dawning.com.cn)
  5. 情報セキュリティ国家重点実験室(http://home.is.ac.cn/default.aspx)
  6. 武漢大学暗号研究センター(http://www.whuecc.com)
  7. 浪潮集団(http://www.inspur)
  8. 中国教育・科学研究計算機網(http://www.edu.cn)
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