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9.2 フロンティアサイエンス分野の現状および動向

(2) 基礎物理・高エネルギー物理

 中国科学院理論物理研究所は、中国の基礎物理研究の中心的な研究所である。同研究所の研究テーマを以下に示す。

  1. 素粒子物理論と場の量子場におけるフロンティア問題(電弱対称性の破れのメカニズム、CP対称性の破れとフェルミオン質量起源、カラー閉じ込め(Color Confinement)問題等)
  2. 極端条件における原子核の研究
  3. 弦理論と場の量子論の非摂動的効果・反応
  4. 引力と宇宙学の研究
  5. 凝集態物理理論の重大なフロンティア問題(強関連電子システムの数値模擬および関連方法のほかの系統への発展、中性原子の関連、輸送、損耗拡散など)
  6. 統計物理と理論生命科学

 物理学分野の飛躍的な進歩には大型実験設備が不可欠となっている。中国では、北京電子・陽電子衝突型加速器(BEPC)、北京電子・陽電子衝突スペクトロメータ(BES)、北京と合肥のシンクロトロン放射光施設(同時性輻射光源)、蘭州の重イオン加速器、合肥の超伝導電磁石トカマク型核融エネルギー実験装置(EAST)の改造・更新によって、中国の高エネルギー物理、原子核物理、核融合などの分野の発展が促進されるものと期待されている。

 このうち、北京電子・陽電子衝突型加速器(BEPC)の改造プロジェクトであるBEPC-Ⅱは、輝度が1032/cm2/sを超え、改造前の10倍に達した。中国科学院・高エネルギー物理研究所が2008年2月5日に明らかにした。

同研究所は、電子蓄積リングの最大貯蔵電流強度が550mAの国内新記録を樹立し、世界の先進レベルに達したと説明している。同研究所では、輝度を現在の3倍にする計画をたてている。

 温家宝首相は2008年11月4日、BEPC-Ⅱを視察した際、衝突型加速器の建設は、中国の素粒子物理分野における国際的な地位の基礎を固めたとしたうえで、核物理における優位性を維持するとともに、中国の基礎および先端研究水準、自己革新能力の向上に一層貢献することを期待すると述べた。

 また、2007年から試運転をしていた蘭州の重イオン加速器冷却蓄積リング(HIRFL-CSR)が2008年7月30日に国の検収を通過した。国家重点科学技術プロジェクトであるHIRFL-CSRは、中国が独自に設計、建設したもので、中国科学院・近代物理研究所内に建設された。

 HIRFL-CSRでは2008年10月15日、変換エネルギーの取り出しとイオン種の自動切換えに成功した。中国科学院が発表したもので、それによると80MeV~400MeVの自動切換えによる高エネルギーの炭素イオンビームが提供できるようになり、深層腫瘍患者への利用が可能になった。

 建設中の上海シンクロトロン放射光施設(SSRF)は2009年4月に竣工する予定で、完成後には、国内外の各種分野の500~600名の専門家が実験を行うことになっている。同放射光施設では、第1期プロジェクトで7つの実験ステーションが建設される予定になっている。同施設では、最大で60の実験ステーションが建設できる。

 「第11次5ヵ年」期間の重大科学プロジェクトとしてスタートした「強磁場実験装置」の着工式と中国科学院強磁場科学センターの開所式が2008年5月18日、合肥で行われた。同実験装置は、定常強磁場実験装置とパルス強磁場実験装置で構成され、このうち定常強磁場実験装置は、中国科学院合肥物質科学研究院と中国科学技術大学が共同で建設する。同装置の運営は強磁場科学センターが行う。

 同センターは、定常強磁場環境下における半導体材料の量子力学反応や高温超伝導メカニズム、特殊有機材料の合成技術、生物反応、凝集態物理、核磁気共鳴技術などについて研究を行うことになっている。

 国家発展改革委員会は2008年9月28日、広東省・東莞市の松山湖科学技術産業パークの中国核破砕中性子源(China Spallation Neutron Source:CSNS)プロジェクトを正式に承認した。

 CSNSは、「第11次5カ年」期間の重大プロジェクトに指定された大規模科学装置で、2013年に完成の予定となっている。同プロジェクトの投資額は約20億元と推定されている。完成すると、発展途上国では初の核破砕中性子源となる。

 純粋な研究利用ではないが、産業目的の高効率電子線加速器が2007年12月18日、国の検査に正式に合格した。食品の鮮度保持や医療用具の滅菌、税関検査等に利用することができる。加速器の産業利用は、これまでのコバルト60を用いた照射よりも安全面で優れており、多方面での利用が期待されている。


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